ヘッドランプの進化とLEDが画期的な理由池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)

» 2016年10月11日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 もう1つ、照射範囲内でマスキングが行えるようになった。前述のように光源を数多く並べて置き、その一部を消灯すれば、部分的に配光を減らせる。これによってハイビームで遠くを照らしながら、対向車を幻惑する部分のみカットするようなことが可能になった。この仕組みをアダプティブヘッドランプと呼ぶ。

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アウディの新たなライティング技術

 最近、SNSなどでも話題になったのでご存じの読者もいるかもしれないが、本来ヘッドランプはハイビームが基本である。対向車を幻惑する恐れがある場合のみ、減光装置(ディマースイッチ)によって、光量や光軸を変えるということになっている。都市部を走行していると、現実的にはこの「対向車を幻惑する恐れがある場合」が走行時間のほとんどなため、ロービームが基本で、特別な場合にハイビームを使うという認識になっているが、本来は逆だ。

 実際、対向車に幻惑されて前方が見にくい上に、ロービームで照射距離が短くなっていた結果、歩行者の発見が遅れるというケースはよくあることなので、アダプティブヘッドランプが夜間走行の安全性向上に大きく寄与することは間違いない。

Audi A8のLEDヘッドライト

 このアダプティブランプが今後普及すると、やがてハイビームとロービームという言葉は死語になる日が来るかもしれない。そのとき、クルマの夜間走行の安全性は大きく進歩しているだろう。クルマを買う際にもし選べるのであれば、アダプティブヘッドランプはぜひともお勧めしたい最新装備の1つだ。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

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