組織文化の「10原則」とは?企業はどうあるべきか(5/11 ページ)

» 2016年12月07日 11時45分 公開
[Strategy& ]
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社

3. 「クリティカルフュー」(少数の重要な行動)に焦点を合わせる

 世間一般の通念では、より包括的なアプローチが推奨される。

 すなわち、完璧ではないすべてのことをみんなで変えなければならないというわけだ。しかし、行動を取り上げるとなると、企業には徹底した絞り込みが求められる。鍵は、かなりの数の人が実践すれば多大な影響を及ぼすと考えられる、「クリティカルフュー(critical few)」と呼ばれる少数の重要な行動に照準を合わせることである。

 例えば、ミーティングの始め方や顧客への対応の仕方といった、会社中で人々が行うことによって業績にプラスの影響を及ぼすいくつかの事柄を見極めなければならないのである。また、それらの事柄は必ず、会社全体の戦略と合致していなければならない。さらに、感情的コミットメントを活用するために、人々がそれらの事柄に気分よく従事できるかどうかを確認することも必要である。

 次に、それらを体系化する。つまり、クリティカルフューを、誰もが毎日実践できる単純で実用的なステップに置き換えるのである。続いて、クリティカルフューに対する準備が整った、すなわち、新しい行動にしっかりと対応することができ、それらを実践して広めていけそうな従業員のグループを選ぶ。

 アジアのある銀行では、急速な買収の結果、事業単位や地域ごとにそれぞれ異なる方法で仕事を進めるようになっていた。チーム作り、顧客成果、そして、相乗効果を生み出す能力の改善に焦点を合わせるために、CEOをはじめとするリーダーたちが、組織文化主導の発展プログラムに乗り出した。対象にしたのはたった3つのクリティカルフュー、すなわち、顧客を喜ばせるために追加的な措置を講じる、年功序列よりも業績に価値を置く、互いにバックアップして支え合う、であった。

 続いて、彼らは会社の各部署に対し、それら3つの一般的な行動の具体的な内容を示した。例えば、顧客を喜ばせるという行動の場合、最前線で働く従業員に対して、同僚と協力しながら顧客の問題解決にあたり、顧客成果に影響を与えるプロセスの改善の実行を優先させるといった具体的な行動に変換したのである。

 これら3つの行動について、リーダーたちは人々が並外れた努力を傾注した事例を評価し、称賛した。シニアリーダーは手本となって、これら3つの新しい行動の模範を分かりやすく示した。会社はまた、これらの新しい行動を仕事の中で示すことができた従業員で、最前線で顧客対応を担当し、大きな影響力を持つ者を特定した。

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