ノンスタ井上の事件、吉本興業の正念場炎上するリスクを減らすには(1/2 ページ)

» 2016年12月14日 10時50分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:

増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 報道ステーションの臨時ニュースでも知らされた、ノンスタイルの井上氏(現時点での呼称は容疑者かも知れませんが、まだ不明なので本文では氏と表記します)の事件は今、大きな岐路に立っています。厳しい状況であることは当然ですが、この先の対応は今正に正念場です。

1.謝罪の初動

 事件事故の収拾のため、謝罪をいち早く行うことは有効です。ただし、何が何でも直ちに会見すれば良い訳ではなく、情報も錯綜(さくそう)し、法的な措置含めてまだ未確定定要素が多い中でもとにかく会見に臨んでしまうというのは危険です。会見しても提供できる情報がなければ当然さらなる反発を呼んでしまうからです。

 少なくとも何が起こって、今どうなりつつあり、今後の見立てくらいの情報は最低そろえてからでないと謝罪会見も成り立たないのです。しかし逆に会見などせずに逃げ回れば、2016年に多発したスキャンダル・炎上事件のように、今度はしつように追いかけられ、さらに批判は炎上し、ますます不利な環境になる可能性があります。

 謝罪のタイミングはきわめて重要で、2016年はここを見誤ったケースがのきなみ炎上しました。逆にタイミングを上手く対応したことで、批判を鎮火できた例もあります。多発した浮気、不倫事件でも、三遊亭円楽さんやファンキー加藤さん、カールスモーキー石井さんに至っては、もはやそんな事件のあったことすら忘れられているのではないでしょうか。

2.真実と炎上

 すぐに記者会見できない理由の一つに「捜査の成り行き」があります。もちろん法律上難しい線引きがあったり、被害補償が巨額になるなど、微妙な環境もあり得るでしょう。しかし今回の事件でいえば、被害者のけがはある程度分かったと報道されています。その原因が何であったかではなく、おそらく売れっ子タレントであり、巨大芸能プロダクションであれば十分負担できそうな被害にとどまっているようです。

 そうであれば、時間を引き延ばすことはマイナスでしかありません。仮に捜査の結果、互いの不注意だったり、過失相殺が発生することがあったとしても、その事実判明を待たずに収拾に入る必要があります。ただし事件が実は飲酒運転だったり、重大な違法行為が今報道されている以外にもあったら話はまた別です。

 炎上は法的な白黒によって起こるものではありません。批判感情が発火し、それが燃え広がりエスカレーションを呼ぶ過程で、もはや事実は飛び越えて、批判的感情がすべてを圧倒します。感情の奔流がもう止めようがなくなる状態を炎上状態と呼ぶと思います。この段階で真実を訴えても、もう聞く耳を持たれることはありません。

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