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» 2016年12月27日 06時00分 UPDATE

知らないとマズいトレンドワード:3分で分かる「ブロックチェーン」最新事情 (2/2)

[森川 夢佑斗,ITmedia]
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仮想通貨を支える技術「ブロックチェーン」

 ビットコインなどの仮想通貨の認知が向上するにつれて、仮想通貨を支えるブロックチェーンにも注目が集まってきた。ブロックチェーンとは、簡単に言えば銀行などの中央管理機関なしに、取引記録の改ざんや消去ができないセキュアな状態で記録し続けることができる技術のことである。“仲介役”を取り除くことができる技術として期待されているのだ。

 先日、三菱東京UFJ銀行がブロックチェーンを用いたMUFGコインの開発を進めていることが報じられた。MUFGコインとは、「1円=1MUFGコイン」で同行により交換することができる同社発行の仮想通貨である。目的は、社内システムコストの大幅な削減であると思われるが、ビットコインのように個人間で簡単に送金が可能になれば、利便性も増すことだろう。

 また、地銀やインターネット専業銀行などを含む42行が参加する「国内外為替の一元化検討に関するコンソーシアム」が発足。海外送金では、複数の中継銀行を経由する必要があるため送金コストが高く時間もかかっていた。しかし、送金側と着金側をブロックチェーンを活用した決済基盤で直結させることで、低コストで24時間リアルタイムに送金・決済できるインフラ構築を目指すとしている。

photo 注目を集めるブロックチェーン技術

金融分野以外でも活用が進む

 実は、仮想通貨の中核技術であるこのブロックチェーンは、金融分野以外での応用の検討が始まっている。今年8月には、オートバックスセブンが、ベイカレント・コンサルティングと共同でブロックチェーンを活用した個人間の中古カー用品売買のプラットフォームを構築する実証実験を開始したと発表した。

 これまでの中古車用品の個人間売買サービスでは、商品に関する情報は売り手側の情報提供に頼らざるを得なかった。ブロックチェーンを活用することによって「いつ購入したのか」「どのくらい使用したのか」「何回修理に出したのか」――といった履歴情報までをシステム上で確認できるようにする。同社は「中古品でも消費者が安心して購入できるようになる」として期待しているという。

 このように、国内でも事例が出始めているが、この流れは海外において顕著だ。

 例えば、米国のウォルマートは中国での生産・流通経路を記録するためにブロックチェーンの活用実験を開始した。サプライチェーンは、多くのバイヤーやセラー、そして物流会社から関税まで複雑な要素が絡み合い、複雑なものとなっている。さらにその大半を紙による管理で行っているため、管理コストが高く、そして人的ミスも起こりやすいという課題があった。そこで、ブロックチェーンを活用して取引記録を行うことでその課題を解決しようとする動きが加速しているのだ。

 その他にも、著作権保護にブロックチェーンを活用する(クリエイターが自分のデジタル作品を提出すると、その履歴がブロックチェーン上に記録され証明書が発行される)などの動きもあり、さまざまの分野でブロックチェーンの活用が検討されている。

 2017年もさまざまな問題に対して、ブロックチェーン技術を持って対峙していくスタートアップないしプロジェクトの誕生がより加速していくだろう。

 海外の先進国では既に仮想通貨についての法規制は整っており、ビットコイン取引や決済のインフラも日本よりも早期に整っていた。その土壌の中で、前述したような金融分野以外でのブロックチェーンを応用したプロジェクトが登場してきた。国内においても、同様のシナリオが起きていくのではないかと予測している。

著者プロフィール

森川 夢佑斗(モリカワ ムウト)

1993年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部在学中に、アルタアップス株式会社を創業。主にブロックチェーン技術をビジネス的な観点からみた情報発信を行っており、在日中国人向けの『日中商報』でのコラム連載や各種メディアでの執筆、セミナーの開催など積極的に活動している。著書に『一冊でまるわかり暗号通貨2016~2017』など。


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