損害保険ジャパン日本興亜は2月27日、自動運転車に対応する自動車保険の特約を新設し、7月から提供を開始すると発表した。システム故障などによって発生した事故で、運転者に損害賠償責任がない場合にも保険金を支払い、迅速な被害者救済を促す。
現在実用化されている自動運転技術は、運転者自身が運転することを前提としているため、運転者が法的な損害賠償責任を負わない事故が発生する可能性は低い。しかし、将来は人が操作しなくてもいい運転技術が実用化されたり、車両がサイバー攻撃を受けたりする可能性があることから、損害賠償責任の確定に時間を要する事故の発生が想定される。
そういった場合にも被害者を迅速に救済するため、「被害者救済費用特約」を新設。車両システムの不具合や不正アクセスなどが原因で人身・物損事故が発生した場合に、運転者など(被保険者)に損害賠償責任がないことが分かった時点で、被害者救済のための保険金を支払う。
メーカーなどの損害賠償責任が確定するまで被害者が修理などにかかる費用を得られなかったり、被害者が損害賠償請求をする手間が発生したりすることを防ぐ。
この特約を適用して保険金が支払われた場合には、事故後も等級を落とさずに継続契約できる。
また、車両保険における「無過失事故の特則」を改定。現在の制度では、自動車との衝突・接触事故が発生した場合、車両の運転者や契約者に過失がなければ継続契約の等級は変わらない。それを改定し、衝突・接触事故の対象物を自動車以外にも拡大する。
改定によって、相手から追突された場合などに加えて、システム故障や不正アクセスなどが原因で家屋やガードレールなどに接触した場合も対象となる。
7月1日以降が始期となる契約が対象。被害者救済費用特約は、自動車保険の商品に自動で追加される。追加保険料は発生しない。
自動運転技術の開発に伴い、事故の原因特定に時間がかかるケースも想定され、保険対応が課題になっている。東京海上日動火災保険は4月から、被害者救済費用を補償する特約の提供を開始するとすでに発表している。
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