2005年、網干さんに白羽の矢が立つ。新商品ブランドの立ち上げメンバーとしてプロジェクトに参画することになったのだ。その商品は「Jagabee(じゃがビー)」。
カルビーは約10年に一度のペースでしか新商品ブランドを立ち上げない。その前が1995年の「じゃがりこ」だった。スナック菓子市場が成熟する中、カルビーはじゃがりこに次ぐヒット商品を作りたいという背景から、素材を生かし、じゃがいも本来の味にこだわった商品を目指したのである。
会社として久々の新ブランド作りという一大プロジェクトに携われる喜びと、一方で周囲にそのノウハウを持っている人がほとんどいないといった不安が入り混じりながらも、2006年の発売を目指し、網干さんはメンバーとともに熱い議論を重ねる毎日を送った。
プロジェクトを進める上でまず決めたのはJagabeeというネーミングである。これはジャガイモとカルビーを組み合わせた造語だが、「消費者への調査などを参考にするのではなく、ブランドの意志として新しい時代のスナックを作ろうと、プロジェクトチーム全員で決めたもの」だと網干さんは説明する。
次にターゲット顧客の設定だ。当時じゃがりこは女子高生がターゲットだったのに対し、Jagabeeは20〜30代の働く独身女性とした。ちょうどスナック菓子離れが起きつつある層を取り込みたいという思いがあったという。
「ポテトチップスのようなスナック菓子は卒業したけれども、これなら私にも向いていると20〜30代の働く女性に思ってもらえるような素材感、最適な分量にしました。また、パッケージデザインも、彼女たちの部屋に置いて馴染むようなものにしました」
ちょうど網干さんも商品のリアルなターゲット層だったので、自分の感覚や感性などをどんどん意見として出していった。
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