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» 2017年03月07日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか (2/5)

[窪田順生,ITmedia]

なぜ「玉砕」的な手法をとるのか

会議中でも、突然怒り出すおじさんは少なくない

 本件で、責任者を呼んだところで事態が改善しないのは明らかだ。むしろ、施設の防火安全管理の責任者に対して、「オレは安全を脅かす行為をしたぞ」と自分から白状をするわけだから、立場をより苦しいものにしている。にもかかわらず、なぜこういう「玉砕」的な手法をとったのか。

 歳をとると頑固になんだよ、という意見もあろうが、だったら目の前にいる人間に頑なに謝罪を求めていけばいい。頭に血がのぼってしまうと損得抜きの脊髄反射で、「責任者を呼べ!」と口走ってしまうのは、理性を超えた潜在意識の部分にこの言葉が刷り込まれている気がしてならないのだ。

 そう感じるのは、50〜60代のおじさんたちがまだナウなヤングだった時代、日本ではやたらと「責任者を呼べ!」的な言葉が強く印象づけられる事件報道が続発したことが大きい。

 その代表が、1985年に日本中を震撼(しんかん)させた豊田商事の永野一男会長刺殺事件である。

 覚えている方も多いと思うが当時、豊田商事は悪徳商法が問題になっていた。そんななかで、被害者である元部下たちの声をうけた自称・右翼の男2人が「永野会長を出せ」と自宅に押しかけ、会長を刺し殺してしまうのだ。

 その衝撃も冷めやらぬ翌86年9月にも、日本刀を持った右翼団体メンバー5人が日本教育会館内にある日教組の共済生協事務局で立てこもって「責任者を出せ!」と訴えた。さらにその翌年の87年9月には、東京・杉並区の不動産会社社長宅に拳銃を持った男が侵入、お手伝いさんを人質に立てこもり、「責任者を出せ!」と要求。お手伝いさんを銃殺するといういたましい事件だった。

 また、1991年8月には野村証券本社にも右翼団体の構成員2人が拳銃を持って乱入、人質をとって立てこもっている。彼らの要求もやはり「社長を出せ!」だった。

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