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» 2017年03月07日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか (4/5)

[窪田順生,ITmedia]

素人が「責任者を呼べ!」という時代

 「クレーマー」という言葉が注目を集めて10年以上経過し、いまや主婦が、穴の空いたタオルケットに腹を立てて、「しまむら」に怒鳴り込んで副店長に土下座をさせた写真をSNSで流す時代になった。駐車場や店での迷惑行為を注意したコンビニ店長に因縁をつけて、土下座を強要した騒動も記憶に新しい。

 永野会長が刺殺された時代の「責任者を呼べ!」と比較すると、驚くほど怒りの沸点が低い。そして、「私にもっと敬意を払え」という自尊心の高さからくる怒りが多くなっている。

 見方を変えれば、「恫喝のプロ」が消えたことで、「責任者を呼べ!」が「素人」のストレス発散に利用される時代になったとも言える。

 いまクレーマーと呼ばれるみなさんが必ずと言っていいほど用いる「責任者を出せ!」というフレーズのルーツが、80年代から90年代にかけて多発した右翼関係者による企業テロ、あるいは総会屋の恫喝の影響を色濃く受けているのは間違いない。

 だったら、80年代から90年代に社会人として新聞やニュースに目をこらしていた50〜60代もなにかしらの影響を受けていてもおかしくないのではないか。

 現在、高齢者がキレる事件が増えている。2016年3月には、公園でタバコをポイ捨てしたことを子どもたちに注意された75歳の男性が逆ギレして、子どもの首を絞めた。ベビーカーに前を遮られたことに腹を立てて、ベビーカーに乗っていた1歳の赤ちゃんをすれ違いざまに殴った64歳男性もいた。

 法務省が公表している『犯罪白書』(平成26年版)の統計によれば、65歳以上の高齢者の犯罪件数は20年前の約4倍と急増している。高齢者人口の増加率は約2倍。人口増加のペースを上回るペースで犯罪に走る老人が増えているのだ。

 そう言うと、「貧困にあえぐ老人が増えているんだ」という人がいる。確かに、そういう側面もあるかもしれないが、どうもしっくりこない。貧困に苦しむ高齢者は世界にもたくさんいるが、高齢者がキレやすいとか、犯罪に走っているという話はあまり聞いたことがないからだ。

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