侍Jの監督は誰に? 簡単には決まらない事情赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)

» 2017年03月23日 11時28分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 世界一奪還は果たせなかった。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨んだ日本代表・侍ジャパンは準決勝で米国代表の前に屈した。戦いの舞台はロサンゼルス・ドジャースタジアム。ゲーム中から雨が降り注ぐグラウンドコンディションの中、侍のメンバーたちは必死に戦い抜いたものの勝利の女神は残念ながら微笑まなかった。スコアは1ー2。あと一歩及ばずの惜敗だった。

 試合後の小久保裕紀監督は「選手たちは責められないし、とにかく一生懸命戦ってくれた」と労をねぎらった。そして自らの去就について触れ「2013年からやらせていただいたが、この大会に向けて引き受けたので、これで契約満了だということになる」とコメント。今大会限りで退任する意向を示した。

 2大会連続のベスト4止まり。最大の目標は達成できなかったとはいえ、小久保監督に対する批判はほとんど聞こえてこない。ネット上を見ても健闘を称える声のほうが圧倒的に多いようだ。

 2015年11月に開催された国際大会「プレミア12」の準決勝・韓国戦(東京ドーム)で3点リードを守り切れず継投に失敗し、9回に一挙4得点を奪われて逆転負け。この敗戦を皮切りに小久保監督は嵐のようなバッシングを受けたが、今大会ではチームを率いて1次ラウンドから連勝を重ねていくごとにブーイングを声援に変えていった。

 期待された日本人メジャーリーガーの参加は青木宣親外野手(ヒューストン・アストロズ)のみ。さらに侍ジャパンの中心選手として考えていた日本ハムの二刀流・大谷翔平投手が負傷を理由に出場をドタキャンする不遇に見舞われた。下馬評では「日本代表史上初のWBC1次ラウンド敗退が濃厚」とまでささやかれながらも、すさまじい逆風を乗り越えて決勝トーナメントまで進出したことによってこれまで辛口だった人たちを黙らせた形だ。

 かくいう筆者も小久保監督に厳しい目を向けて来た1人。しかし、たとえ世界一奪回は果たせなくとも侍ジャパンは日本野球の底力を見せ付けることができた。日の丸の重圧にさいなまれながらもチームを率いた指揮官には頭を下げ、素直に拍手を送りたい。

米国戦終了後、ブログをアップした小久保監督(出典:小久保裕紀オフィシャルサイト
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