旅行業者の倒産、負債総額が過去最高・約204億円にてるみくらぶ倒産の影響大

» 2017年04月10日 16時36分 公開
[ITmedia]

 帝国データバンクは4月10日、2016年度に倒産した旅行業者の負債総額が、比較可能な00年度以降では最高額の203億9300万円(前年度比403.0%増)に上ったと発表した。3月末に倒産した格安旅行会社、てるみくらぶの負債額が約151億1300万円、関係会社の自由自在の負債額が約34億6400万円と高額だったため、負債総額の大幅増につながった。

 16年度に倒産した旅行業者は29件。倒産企業数は3年ぶりに増加していた。

photo 倒産件数と負債額の推移=帝国データバンク調べ

 負債規模別では、てるみくらぶ関連2社を除く27社の負債額は全て5億円未満だった。帝国データバンクによると、「旅行業界では、集客用のシステム導入以外には大きな設備投資が必要でないため、基本的には大型倒産は発生しづらい傾向にある」という。ただ、2社の負債額が突出して多かった影響で、1社当たりの平均負債額は前年度比4倍超の7億320万円に上った。

photo 1社当たりの平均負債額推移=帝国データバンク調べ

 旅行業者全体の収入高総額も2年ぶりに減少に転じ、2.0%減の3兆7377億円にとどまった。収入高総額が悪化した時期と、倒産企業数が増加した時期が重なっているため、同社は「事業環境の変化によっては、引き続き倒産件数が増加する可能性がある。てるみくらぶの例のように、旅行業者の倒産は大きな消費者被害につながりかねないため、旅行事業者は弁済制度などの消費者向け救済策の拡充が求められる」と指摘している。

photo 旅行業者全体の収入高総額推移=帝国データバンク調べ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.