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» 2017年05月26日 07時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:伸ばせば3メートル以上! ジャバラ地図『全国鉄道旅行』の存在意義 (1/6)

出版不況と電子地図の普及によって、紙の地図には向かい風が吹いている。しかし、日本の鉄道路線図を1枚に収めた『全国鉄道旅行』が毎年1万部以上と堅調な売れ行きだ。正縮尺ではないデフォルメ地図に、一定のファンが付いている。実は筆者もそのひとりだ。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 『全国鉄道旅行』という地図がある。発行元の昭文社は『マップル』『エアリアマップ』『ことりっぷ』で知られる地図出版社だ。全国鉄道旅行は、書店の棚では細長い地図帳のフリをしているけれど、実は1枚の地図が扇子のように折りたたまれている。全て広げると3メートル20センチほど。しかし扱いは手軽だ。山折りと谷折りを繰り返すジャバラ構造になっている。見たいところだけ開くと、ほぼB5サイズである。隣の地域を見たいときはパタンと次の谷間を開けばいい。

photo 『全国鉄道旅行』(昭文社)。全長3メートル20センチ以上、日本列島の鉄道を全て収録

 この地図のすごいところは、この長い片面に日本列島を全て納めたデザインだ。もちろん沖縄や離島もある。正縮尺では収まらないから、かなり細長く変形させている。しかし、この変形にもこだわりを感じる。半島の形は特徴を捉えているし、湖の位置もそれなりの場所にある。

 ここにはJR旅客会社の全路線と全駅が載っている。民鉄も網羅している。本線と支線の合流の向き、乗り換え駅の交差、実際に近くにある駅同士の関係が反映されている。海のそばの路線はちゃんと海沿いにある。むしろ、鉄道路線図を反映させるために地形を変形させているようだ。都市部や地下鉄は密度が高いので、裏面に詳細な拡大路線図を掲載。直通運転を反映するなど、路線の色分けも工夫されている。

 さらに、毎年1回、あるいはそれ以上、ちゃんと新版が発行されている。最新版には北海道新幹線はもちろん、広島県の可部線の延伸区間2駅もある。そして、残念だけど留萌本線の留萌〜増毛間は消えた。月刊時刻表の地図も毎月更新されているとはいえ、地図帳、鉄道ガイドブックとして見れば、しっかり更新してくれるのはありがたい。

 そして800円(税別)という低価格。全線全駅を網羅した鉄道路線地図帳としては安い。旅先に持ち歩いて、汚れたり破れたりしても買い直そうという気持ちになれる。毎年、最新版を買いたくなる。しかも付録に64ページの冊子が付いている。さまざまな交通機関の利用方法やおすすめスポットが載っていて、鉄道旅行初心者にとって親切な内容だ。

 まだまだすごいところはあるけれど、追って紹介しよう。今回はべた褒めである。ステマと疑われそうで不安になるくらいだ(違うよ)。私はこの地図のファンであり、なくてはならないモノだ。しかし、私の『全国鉄道旅行』への愛情はゆがんでいるかもしれない。

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