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» 2017年07月14日 07時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:利益優先?鉄道愛? 鉄道会社の株主総会報道を俯瞰する (1/4)

「電車の色を変えて」「JR北海道を救って」「あっちの路線ばかり優遇するな」「不採算路線の切り離しを」――これらは鉄道会社の株主の発言だ。株主は会社に投資し、利益の分配を期待する。しかし、株主の中には、利益を生まない改善を要求する提案もある。鉄道会社と株主の関係はどうなっているか。そして今後どうあるべきか。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 これは、いわゆる“ほのぼのニュース”かもしれない。

 6月13日に開催された阪急阪神ホールディングスの株主総会の質疑応答で、男性株主が「急行用電車の色を変えるつもりはないか」と要望した。オレンジ色が気に入らないという。株主総会を報じた産経新聞の記事によると「気分が悪いので口にも出したくない球団の色を連想する」からだという。

photo 阪神電鉄の8000系車両。オレンジ色に塗り替えられた(出典:Wikipedia KishujiRapid氏

 球団というところでお察しの通り、阪神電鉄の子会社に阪神タイガースがある。しかし、急行用電車はオレンジ色、これはすなわち読売ジャイアンツのシンボルカラーだ。ジャイアンツは日本で最も歴史あるプロ野球球団、タイガースは2番目。両球団は宿命のライバル。阪神巨人戦といえば数々の名勝負を生み出してきた伝統の試合だ。

 阪神甲子園球場で阪神巨人戦が開催され、巨人が勝ち、阪神が負けると、阪神ファンは失意のうちに帰宅する。その時に乗る電車が、憎き巨人軍の色。運行する会社は阪神電鉄だ。これは裏切りに等しい、とタイガースファンは感じている。プロ野球の人気が低迷していると言われる中、これほどまでに野球を愛するファンがいる。そこにまず敬意を表したい。

photo 阪神電鉄の車両。オレンジ色が急行用、青が各駅停車用(出典:阪神電鉄公式サイト
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