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» 2017年07月20日 06時30分 UPDATE

小売・流通アナリストの視点:日本の百貨店はまた同じ道をたどるのか? (1/4)

インバウンド消費によって支えられている日本の百貨店だが、この恩恵が未来永劫続く保証はない。客離れという本質的な問題にメスを入れ、大変革を遂げるのは今しかないのではなかろうか。

[中井彰人,ITmedia]
業績が振るわない三越伊勢丹ホールディングスは17年3月期決算で減収減益に。写真は伊勢丹 新宿店 業績が振るわない三越伊勢丹ホールディングスは17年3月期決算で減収減益に。写真は伊勢丹 新宿店

 日本百貨店協会の外国人観光客売り上げ・来店動向の2017年6月速報によれば、昨年は頭打ち傾向にあった免税売り上げの対前年比増減が、2016年12月から6カ月連続で増加となった。百貨店業界としては、インバウンド消費の停滞が業績にも影響を及ぼしていただけに、この朗報に一安心といったところであろう。

 外国人来店客数については一貫して増加傾向にあるにもかかわらず、減収に陥ったときは、円安終息の影響や越境ECの影響、訪日外国人の旅行スタイルの変化などいろいろな分析がなされ、インバウンド消費は底をついたという懸念が広がった。

 インバウンドの足元の復調は喜ばしいことではあるが、インバウンド強化に傾倒し巨大免税ショップ化しつつある百貨店を見ていると、インバウンド消費が一段落したらどうなるのかと思ってしまう。売り上げの95%以上を占める国内市場は、依然として減収基調が続いているからである。

直近の外国人観光客売り上げ動向。数字は売り上げ前年比(%)(出典:日本百貨店協会) 直近の外国人観光客売り上げ動向。数字は売り上げ前年比(%)(出典:日本百貨店協会)

 百貨店業界はこれまでもその時々の売れ筋商品を売り場に集約し、取り扱い商品と客層を絞り込むことを繰り返してきた。その結果客離れが進み、ブームが過ぎた後、さらに厳しい減収圧力に苦しむというのが過去のパターンだった。今度も百貨店はインバウンドを追いかけて、国内大衆顧客からさらに縁遠い商業施設になろうとしている。

 衰退の本質である大衆顧客が離れていった対策をいまだ見出せてはいない百貨店ではあるが、インバウンドの恩恵が続いている今こそ、大変革の最後のチャンスではないのか。そんな思いで、百貨店の過去を少し振り返ってみたい。

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