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» 2017年07月20日 18時52分 UPDATE

ラジオ局が本気で作った:人の声が心地良いラジオ「Hint」 業界盛り上がるか

ニッポン放送など3社が、ラジオ受信機の「Hint」を9月初旬に発売する。出演者が話す声が心地良く聞こえるよう調整されたスピーカーを搭載するなど独自の工夫がなされており、ラジオ業界を盛り上げる狙いがあるという。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 ニッポン放送、家電ベンチャーのCerevo、フィギュアメーカーのグッドスマイルカンパニ―は7月20日、ラジオ受信機「Hint BLE Radio(Hint)」を9月初旬に発売すると発表した。出演者が話す声が心地良く聞こえるよう調整されたスピーカーを搭載するなど独自の工夫が特徴で、苦戦が続くラジオ業界を盛り上げる狙いがあるという。価格は2万2000円(税別)。

photo ラジオ受信機の「Hint」

 商品名のHintは「気配」を意味し、「ラジオをつけるだけで一人暮らしの家が明るくなるような“気配の発生装置”であってほしい」との意味が込められている。

 AM放送の番組をFM放送の周波数で放送する「ワイドFM」に対応し、ビルやマンションでも受信しやすいという。ニッポン放送技術部がサウンド面を監修し、スピーカーは人が話す声が心地良く聞こえるよう設計されている。

photo Hintの主な機能

 Bluetoothスピーカー機能も搭載しており、スマートフォンやPCに保存している音楽のワイヤレス再生が可能。スピーカーは無指向性のため、部屋のどの位置からでも高音質のサウンドを提供できるという。

photo 周波数とボリュームをチューニングするダイヤル

 また、電話のダイヤル音「DTMF音」を活用した情報伝達機能も持ち、ラジオ番組でDTMF音が流れた場合などに音声に含まれる情報を解析できる。情報取得後はBluetooth Low Energy(BLE)ビーコン経由でスマートフォンに送信できる。

 例えば、音楽番組で取り上げられたアーティストのミュージックビデオなどのURLをリスナーのスマホに送信できるため、ラジオ放送の幅が広げられるという。

 現時点ではラジオ局はDTMF音を使用したデータ配信を行っていないため、将来の発展を見据えた機能として実装した。ニッポン放送は、今後のデータ配信の開始を検討しているという。

photo DTMF音を使用したデータ配信の仕組み

立ち上げの経緯は?

 Hint開発プロジェクトを立ち上げたニッポン放送の吉田尚記アナウンサーは、「ラジオは1920年に誕生し、もうすぐ100周年になるが、あまり話題になっていない。もう一度ラジオ業界を盛り上げるために、ラジオ受信の形を変えたいと思って開発を決めた」と話す。

photo Hintの全体像

 プロジェクトには3社の上層部とエンジニアだけでなく、デザイン企業「SF inc.」代表でクリエイターのメチクロさんが参加。商品のコンセプトや形状の企画・立案を担った。

 「ラジオは聴き方はさまざまなのに、なぜ受信機の形と価格は同じようなものが多いのだろうかと疑問に感じていたため、存在感を放つデザインにした。市場では米Amazonの『Amazon Echo』など、人と会話できるスマートスピーカーが人気だが、ラジオはあくまで人間が“聞き流す”ものと考え、人工知能(AI)を活用したコミュニケーション機能はあえて搭載しなかった」(メチクロさん)

 本体サイズは80(幅)×80(奥行き)×297(高さ)ミリで、重量は1075グラム。フル充電に要する時間は5時間で、充電完了後の連続稼働時間は3時間。カラー展開はフロストシルバーとブラックの2色。

 プロジェクト発足後、2016年7月にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」上で資金の募集を開始。目標に掲げた1300万円の2倍超となる約3026万円の資金を集めた。

photo プロジェクトの主要メンバー。左から、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサー、Cerevoの岩佐琢磨代表取締役、グッドスマイルカンパニーの安藝貴範代表取締役社長、SF inc.のメチクロ代表

 クラウドファンディングで資金を出資した1250人には商品の発送を開始済み。出資者限定で、本体カラーにゴールドを採用した限定版や、ニッポン放送にゆかりのある声優の野島健児さん、中村繪里子さん、田所あずささんが起動音などを担当した特別版も提供した。

 17年度中の販売目標は非公開だが、「現在数千台を生産ラインに投入しており、状況に合わせて展開していきたい」(Cerevoの岩佐琢磨代表取締役)という。

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