「ウィルキンソン」がバカ売れしている本当の理由スピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2017年09月05日 08時15分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「ウィルキンソン」がバカ売れしているらしい。

 「そういや最近よくディーンフジオカのCMを見かけるなあ」という人も多いだろうが、気がつけば無糖炭酸水市場の50%を占めるまでのブランドに成長しているのだという。

 その成功ぶりを扱っているニュースによると、躍進のきっかけはハイボールブーム。割り材としての需要が増えたことでブランドの認知が上がったことや、「家飲み」でハイボールをつくった人が余った割り材を飲むことで、ウィルキンソン単体の味にも注目が集まったのだという。

 そこで手応えを感じた製造販売元のアサヒ飲料が2011年にペットボトル入りを発売。「直飲み」を提案したところ、世の健康志向、糖質ゼロ飲料のトレンドにピタッとハマって、この10年で10倍の急成長を遂げたというのだ。

 ハラ落ち感のあるサクセスストーリーに思わず「なるほど」とうなずく人も多いだろうが、個人的にはひとつ大事な要素が欠けている気がしている。

 それは、PB(プライベートブランド)だ。

 実はウィルキンソンのペットボトルを出してからしばらくして、アサヒ飲料はセブン&アイホールディングスのPB商品である「炭酸水」を手がけるようになる。セブン&アイの販路網に加えて、88円という低価格もあって、この製品が「炭酸水愛好者」の増加に大きく貢献していることは間違いない。

 そう聞くと、もうピンときた方も多いだろう。

 ウィルキンソンのファンを増やしていこうとした場合、「とにかく人目につくように店の棚を占拠しよう」とか「まずは手にとってもらえるように価格を下げよう」という戦略がよろしくないのは言うまでもない。

 そんなことをするともともといるファンにそっぽを向かれてしまうし、飲食店やバーでプロに愛用されてきたという「ブランド価値」が地に落ちてしまうからだ。

ウィルキンソンが売れているというが、気になることも
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