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» 2017年09月22日 11時00分 公開

上場に必要なチーム力:はてなの新規上場を支えた「コミュニケーション」 (1/3)

新規上場を実現するまでには、企業の成長性や健全性などをステークホルダーに証明することが必要だ。2016年2月に東証マザーズに上場した、はてなの取り組みとは? キーワードは「コミュニケーション」だ。

[加納由希絵,ITmedia]

特集「経営者を支える“財務のプロ”」:

ビジネスを大きくして、会社を成長させていく。その実現に欠かせないのが財務戦略だ。本特集では、日本でも重要なポジションとして認識されつつある最高財務責任者(CFO)の役割や求められるスキルを明らかにする。また、事業拡大や新規上場を通じて成長している企業の取り組みを探っていく。


 新規上場。それは企業にとって大きな目標の1つだ。実現するまでには、事業を健全に成長させていくことはもちろん、それをステークホルダー(利害関係者)に証明する必要がある。上場までの取り組みがその後のさらなる成長を左右するといってもいいだろう。その取り組みには財務をはじめ、コーポレート部門の働きが欠かせない。

 「はてなブログ」などのインターネットサービスで知られるはてなは、2016年2月に東証マザーズに上場した。同時期に上場した企業が他になかったことに加え、インターネット業界で知名度が高い同社が満を持して上場したことで、注目を浴びた。

 その舞台裏には、組織づくりに始まる着実な取り組みの積み重ねがあった。どのような人材が集まり、何を重視して取り組んだのだろうか。キーワードは「コミュニケーション」だ。

photo はてなの東京オフィス(東京都港区)

CFO中心にプロジェクト推進

 16年2月の新規上場は1社のみ。16年になってからは初めての上場承認だった。IR・経営企画の責任者として上場プロジェクトを進めた執行役員コーポレート本部長の田中慎樹氏は「難しい時期に上場できた」と振り返る。その理由は、前年の15年、上場後早々に業績を下方修正する会社が相次ぎ、上場審査がより慎重に進められるようになっていたからだ。

 そんな中、はてなは上場1年前に計画したスケジュール通りに準備を進め、上場に至った。厳しい環境で着実に上場準備を進めることができたのはなぜか。田中氏は、「キーポイントになったのは、上場会社の経験者」だと説明する。

 その筆頭がCFO(最高財務責任者)だ。はてなは12年にCFOを公募した。複数の企業で財務部門やCFOを経験していた小林直樹氏がCFOに就任し、上場プロジェクトチームを率いた。

上場審査に耐えられる組織に

 01年に設立したはてなは、「人力検索サイトはてな」や「はてなブックマーク」など、当初から話題性のあるインターネットサービスを手掛け、知名度が高かった。しかし、まずは着実に事業規模を大きくしていく、という方針に沿い、上場を急いでいたわけではなかった。

 その状況から一転、上場に向けて舵を切ったきっかけは、スマートフォンの普及だ。「スマホアプリ主体のビジネスが増えてくる波が来ていた。技術力を強みにしているはてなにとっては、開発投資がさらに必要になる」(田中氏)。資金調達に加え、人材確保の必要にも迫られるという認識があった。

 上場準備に入ると、まずは組織づくりを重視。会社にとって機能的でシンプルだった組織を「上場審査に耐えられる体制」(田中氏)にすることが必要だった。社内制度を整備し、組織の責任権限を明確にして、会社の意思決定を外部に説明できるものにしなければならない。

 そのために頼ったのが外部の経験者だ。CFOに加え、経理と総務の経験者を採用した。求めたのは「適時開示を任せられるレベル」(田中氏)の経験を持つ人材。心強い人材を迎え、チームの地盤を固めた上でプロジェクトを進めていった。

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