次どうするのか 絶対に負けられないボクサーの村田諒太赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2017年10月14日 09時17分 公開
[臼北信行ITmedia]
10月22日、運命の再戦が行われる

 運命の再戦まで残り10日を切った。

 ボクシングのWBA世界ミドル級1位、村田諒太(帝拳)が王者のアッサン・エンダム(フランス)に挑む同級タイトル戦が10月22日に両国国技館で行われる。「不可解裁定」として議論を巻き起こした5月のWBA世界ミドル級王座決定戦以来となる因縁のリマッチ。前回の対戦では得意の右でダウンを奪った村田の有効打か、あるいは手数の多かったエンダムの積極性かでジャッジが割れ、結果として1ー2の判定で敗れた(関連記事)。

 この結果には日本国内はもちろん、世界中のボクシング関係者やファンの間からも「真の勝者は村田」との声が噴出。WBA会長までもが、この「不可解裁定」に疑問を投げかけて異例のリマッチ指令を出すなど大きな波紋を呼んだ。

 敗れはしたものの、世界戦経験の豊富な実力者のエンダムを大いに苦しめ“幻の勝利”とも言える好内容を見せ付けたことによって、村田の価値は急上昇。WBCやWBOなど他の団体からも村田のもとにはオファーが舞い込んでいるようで、引く手あまたの状態となっている。

 五輪金メダリストからプロに転向し、4年の歳月が流れた。日本人プロボクサーの中で人気や知名度は今や青天井の域にまで達している感もあるが、そろそろ箔(はく)を付ける意味でも世界ベルトが欲しいところではある。そして今回のリマッチで敗れれば、もう「次」がないことも重々承知している。

 いくら有力な他団体から現時点でオファーが舞い込んでいても、仮に今度の再戦でエンダムに返り討ちにされてしまったら価値は暴落してお呼びすらかからなくなり、引退の道を選ばなければならなくなるかもしれない。それがプロボクサーとしての宿命だ。その怖さを村田は十分に感じ取っている。

 だからこそ、次のリマッチで村田は手数を増やして、相手にガードされても打ち破るぐらいの気持ちで連打を浴びせ続ける――。このようなプランニングを陣営側と固めているだろう。

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