DeNAラミレス監督の采配力と人心掌握術に感動赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2017年10月26日 12時50分 公開
[臼北信行ITmedia]

 素直に脱帽だ。プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで横浜DeNAベイスターズが広島東洋カープを下し、19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。第1戦目こそ降雨コールドで5回終了となって黒星スタートを喫したものの、その後は怒涛(どとう)の4連勝。リーグ3位のチームが、レギュラーシーズン連覇を達成したカープを破る“ジャイアントキリング”を成し遂げた。

 一体どちらが優勝チームか分からないような試合運びだった。ベイスターズのアレックス・ラミレス監督の采配は恐ろしいほどにさえ渡り、短期決戦の戦い方は「こうあるべき」という手本を世に示す格好となった。特に投手起用に関して言えば、それまで先発ローテーションに加えていた投手をここぞという場面でリリーフとして継ぎ込み、それがパズルのピースようにピタリとはまった。

 要所におけるワンポイントでの投手起用も、これでもかとばかりに矢継ぎ早で繰り返すシーンも多々見られた。データを重視して何通りもの選択肢を作り上げ、その中から状況に応じて物怖じすることなくスパッと決断する。これまで日本プロ野球の歴代監督にはほとんど見られなかったドラスティックな采配が光った。

 ときには、それが「非情」とも映った。しかし、そうかといってラミレス監督は選手たちと距離ができているわけでもない。主力たちの誰もが「このチームはファミリー」と口をそろえるように、指揮官とコーチ陣、スタッフ、そして選手たちの間には固い結束ができ上がっている。

 そうした揺るぎない体制が構築されている背景には、指揮官のフォローがあるからに他ならない。ラミレス監督は地道に選手たちに声をかけ、ときにはフェース・トゥ・フェースで助言を送ることも決して忘れない。実は人一倍、情にも厚い監督なのだ。コーチ陣やスタッフとも密な話し合いを常に積み重ね、信頼関係はお世辞抜きに「鉄壁」と評して間違いない。

10月31日、横浜スタジアムで日本シリーズが行われる
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