成功事例や武勇伝はまず、疑え常見陽平のサラリーマン研究所(1/3 ページ)

» 2017年10月27日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]

 私は「若き老害」と呼ばれている。「もう若くないだろ」というよくある批判はどうでもいい。老害業界の中では、まだまだ若い方だ。「老害力」もまだそんなに高くないと思うのだ。

 老害と言えば、思い出すのは元プロ野球選手の張本勲氏である。「喝!」「あっぱれ!」を連発することで有名だ。中でも老害芸そのものなのは、現役選手(しかも、野球とは限らない)に対する説教だ。昔は(自分たちは)もっとやったもんだ、こうだったんだ、と。

 もちろん、これはあくまで面白がる対象であり、いちいち真に受けていてはいけない類のものだ。「はいはい」とスルーするべきものである。当時よりも、今の方が練習方法、技術が進化しているのは明らかだ。競技人口だって違う。日本人がメジャーリーグなどで活躍する時代にもなった。「昔はよかった」という話こそ幻想ではないか。

 やや話は飛躍するが、これはビジネスにも通じる話だ。「○○社はスゴい」「○○という製品はスゴい」「○○さんの武勇伝にびっくり」みたいな話は、ちょっと引いた視点で考えたい。本当にそれはスゴいのか、と。ビジネス界における武勇伝や成功事例についても疑って掛かる必要があるのだ。

 可能な限り、その事例を紹介しよう。

photo ビジネス界における武勇伝や成功事例についても疑って掛かる必要がある
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