ここしばらく、日本の家電メーカーの敗北がどれだけ日本人のトラウマになっているかが骨身に染みた。日本の自動車メーカーが電動化に遅れているどころかリードしているのだという話をいくら丁寧に数字を挙げて説明しても、「いやそういう油断で電気メーカーは負けた。クルマも負けるに違いない」という人が後を絶たない。
内燃機関だってなくなるのはどんなに早くても2050年レベルで、それまでは何らかのハイブリッドでエンジンとモーターを両方使う時代になる。それは欧州のメーカーだってはっきり言っていると話しても「エンジンなんかにいつまでも固執しているから敗北するのだ」と言って聞かない。彼らは酷い閉塞感の中を生きている。
筆者は今回のトヨタのヒリヒリするほど徹底した自己改革を見てトヨタの覚悟に後ずさるような恐れを感じた。まったく負けていないことをわきまえつつも、絶対に手遅れにしないためにトップグループを保って全力疾走を続けている。
かつて英国が政府主導で自動車メーカーの合従連衡を進めて、力を落としていったのと反対に、トヨタのこの民間企業ならではのエネルギーでオールジャパンを活性化させていく流れに筆者は大いに期待している。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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