物事の「受け止め方」を変えれば、ストレスと上手に付き合える心を強くするストレスマネジメント

» 2017年12月04日 06時30分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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 近年、メンタル不調による休職者の増加が社会問題となっている。状況を改善するため、厚生労働省が2015年から50人以上の従業員を抱える企業に年1回のストレスチェックを義務化するなど、国全体でビジネスパーソンの心のケアが進められている。

 しかし、心理学者の榎本博明氏は、著書「心を強くするストレスマネジメント」(日本経済新聞出版社、税別860円)の中で「いくら組織がストレスチェックを取り入れても、ストレスにうまく対処できるかは本人次第」と指摘する。同じような失敗を犯し、上司から叱責(しっせき)され、厳しいノルマを与えられた場合でも、「ストレス症状に苦しむ人と、うまく処理できる人に分かれる」というのだ。

photo 「心を強くするストレスマネジメント」(日本経済新聞出版社)

 ストレスの処理能力が高い人と低い人の違いとして、榎本氏は「物事の認知の仕方(受け止め方)」を挙げる。例えば、仕事でノルマを達成できなかった際に、前者は「もっと工夫して、次は達成しよう」「改善の余地はあるはずだ」と楽観視するが、後者は「自分は駄目だ」「この仕事に向いていない」と悲観的に捉えるという。

 物事を悲観的に捉えてストレスがたまりがちな人に対し、同書は「認知のゆがみを改善することで打たれ強い心を作れる」とアドバイスする。

 具体的には、(1)つらい出来事は永遠に続くのではなく、一時的なものだと見なす、(2)物事を普遍化せず、「人はみんな信用できない」→「あの人は信用できない」などと限定的に捉える、(3)失敗した際に自分を責め過ぎず、「教えられていないから仕方ない」「不運だった」と、外部要因も考慮に入れてみる――などを勧めている。

 また、「自分にできるわけがない」「自分は優秀であるべきで、失敗すべきでない」――といった「根拠のない決めつけ」「べき思考」も心を苦しめる一因となると指摘。普段から物事の良い面・悪い面などを多面的に捉える習慣をつけ、ポジティブな見方に切り替えるよう説いている。

 このほか、スポーツなどでストレスを発散する「コーピング」の手法、対人関係でのストレスを感じにくくするコミュニケーション方法の解説や、自分の認知の仕方が分かるチェックシートも収録。落ち込みがちな思考法を改善し、高いモチベーションで仕事に臨みたいビジネスパーソンに参考になる。

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