脳の神経回路は、楽観的に物事をとらえていないと、潜在能力を発揮できないようにできています。悲観的なときの脳は、言うなれば潜在能力にふたをして抑え込んでいる状態なのです。(茂木健一郎)
子どものころは、テストがイヤだ、友だち付き合いがうまくいかない、勉強がイヤだ、体育がイヤだ――と、ささいなことでストレスを感じていた人も多いのではないでしょうか。社会人になるとその質が変化するだけでなく量が増え、“ストレスフル”な状態になりかねません。しかし、私が出会ってきた出世した人たちは一様に、ストレスは自身の得手不得手を見極めるのに欠かせないものであり、ステップアップするための材料だとおっしゃいます。これはどういう意味でしょうか?
大手ファンド会社に勤務するAさん(40歳)は、社内で最年少リーダーとしてチームを統率されています。会社の利益を考えるのはもちろんのこと、自分より年上の部下もいるので、人間関係を含め、かなりのストレスフルな状態です。しかし、Aさんは自身の状況についてこうおっしゃいます。
「数字に対してストレスを感じるのであればそれを回避する方法を模索するし、人間関係で悩んでいるのならそれを補える方法を全力で探し出す。360度見回して、イヤなことに対して自分が立っている場所を確認し、1人で無理なら周りの人も巻き込んで回避する方法はないか探す。そうこうしているうちに、解決の道が開けているんだ。数年前、“あの上司はなんであんなに効率が悪いのか”と感じていて、それを解決できない立場にいたころのほうがストレスフルだったよ」
さらにAさんは、笑いながらこう続けました。
「“ストレス=悪いもの”と思うから、さらに悪い流れになるんじゃないかな。“ストレス=階段”だと思えば一段一段上っていく感じがするはず。ことわざに『好きこそ物の上手なれ』というのがあるだろう? それと同じで、ストレスはステップアップのために必要。だから、仕事のストレスは仕事で発散できる。しかし、あまりに長期化するストレスは“悪玉”に変わる可能性があるから他に投げたほうがいい。そのときに、自分で解決できなかったと思うと落ち込むから、“ステップアップのための階段を他人に譲ってあげた”と思うようにしているんだ」
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