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» 2017年12月11日 06時35分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:マツダCX-8試乗 3列目は果たして安全だったのか? (1/5)

マツダは国内SUVの最上位モデルにあたる新型車、CX-8を発売する。筆者が以前から着目していた3列目シートは果たして安全だったのか。試乗してみた。

[池田直渡,ITmedia]

 マツダは国内SUVの最上位モデルにあたる新型車、CX-8を12月14日に発売する。

 マツダは「Be a Driver」のコンセプトの下、マツダ車の「走り」を改革してきた結果、既存の3列モデルはコンセプトに馴染まないという結論に至り、販売を終了した。CX-8は、マツダの3列シートモデルであったプレマシー、ビアンテ、MPVの販売終了に伴い、多人数乗車ニーズを可能な限り引き継ぐモデルである。車両の立ち位置に関する詳細は過去記事を参照していただきたい

CX-8はマツダ第6世代国内モデルとしては唯一の3列シートモデルとなる CX-8はマツダ第6世代国内モデルとしては唯一の3列シートモデルとなる

スライドドアのない多人数乗りモデル

 現在、マツダのSUVラインアップは基礎構造で2つに分かれている。デミオとコンポーネンツを共用するCX-3と、それ以外、つまり、CX-5、CX-8、CX-9である。

 CX-5はマツダのグローバル販売の4分の1を占める基幹車種で、共通の基礎開発を持つ北米用大型3列シートモデルがCX-9となる。今回デビューしたCX-8は、CX-9の全幅をCX-5と同等にスリム化した成り立ちという理解で概ね構わないと思う。今後、発売時期によりそれぞれ年次改良技術の採用水準がグルグルと変わるので、3車種は相互に影響し合いながら良いとこ取りが繰り返されていく関係である。

 CX-8に対するマツダ自身の説明は以下の通りである。

KEY VALUE 1.

日々の生活に心地よい刺激を提供する、普遍的な美しさと上質なデザイン

KEY VALUE 2.

行動範囲を広げる、ロングツーリング・オールラウンダー

KEY VALUE 3.

すべての乗員が安心・快適にカーライフの楽しさを共有できる室内空間

 ここで言うキーバリューに番号が振ってあることに筆者は留意しておく。デザイン、走り、ユーティリティの序列にマツダとしては「強いて言えば」であったとしても優先順位があるということだ。序列があること自体は良いことでも悪いことでもなくニュートラルだが、ユーザーが大事に思う順とそれが合うかどうかは別だ。

面の変化でクルマの形を見せようとする次世代「魂動」デザインのテーマを追求するにはスライドドアは使えなかった。フロントから見るとほとんどCX-5と見分けがつかないが、リヤデザインははっきりと異なる 面の変化でクルマの形を見せようとする次世代「魂動」デザインのテーマを追求するにはスライドドアは使えなかった。フロントから見るとほとんどCX-5と見分けがつかないが、リヤデザインははっきりと異なる

 一例を挙げれば、スライドドアは、ドアのスライド軌跡によって物理的に外板の抑揚が制限される。その影響で、デザインが平板な箱に近づくことが避けられない。「上質なデザイン」に最大プライオリティを置くとしたら、「どうしてもスライドドアでなければ嫌だ」という顧客をあきらめなければならない。

 肯定的に受け取ればそれはマツダの覚悟だし、否定的に受け取れば顧客の切り捨てである。いずれにしても、マツダは顧客が3列シートに求めるニーズを最大値で引き受けようとは思っていない。「マツダらしい3列シートとは何か」に絞り込んだモデルと言える。それが2%の顧客に選ばれるクルマづくりと言い続けるマツダの選択であり、顧客のわがままを可能な限りすくい上げようとするトヨタのアルファードとの違いである。

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