日本を引っ張るのは俺たちだ!:日本経済再成長のカギは地方にあり
インタビュー
» 2018年01月31日 06時30分 公開

クルマ社会に朗報?:沖縄の渋滞緩和に一役、自動走行バスにみる地方活性化の可能性 (1/6)

沖縄本島を訪れた人ならご存じだろうが、都市部を中心に交通渋滞が深刻な問題となっている。まさにクルマ社会の弊害と言えるのだが、この問題を解決すべく内閣府などが今力を入れているのが自動運転バスの実証実験だ。

[翁長潤,ITmedia]

 電車や地下鉄、バスなど移動手段の選択肢が多い都市部に比べて、地方に関しては自分の乗用車が「足」になる。そうしたクルマ社会では通勤、帰宅時に道路が渋滞を招くこともしばしば起こり得る。

 沖縄県もそうした渋滞に悩まされているクルマ社会地域の1つだ。

 沖縄本島には、「ゆいレール」という都市モノレールがあるが、これは那覇空港と首里城の12.9キロメートルを結ぶだけ。主要な交通手段はクルマ、バス、タクシーであり、基本的に道路を使うものばかりだ。さらには、本島の中央部には米軍基地があるため、道路の本数そのものも限られている。

 すると当然、都心部を中心に慢性的な渋滞が発生するのである。内閣府の調査(2012年度)によると、平日混雑時の旅行速度で、那覇市は東京23区の19.3km/hや大阪府の19.5km/hを下回り16.9km/h。さらに14年度には15.9km/hと悪化している。観光客が増え続ける中、こうした状況は沖縄経済にとって大きな損失につながっているのだ。

 そのような問題を解決しようと、内閣府は沖縄県内での渋滞緩和を目的とする「沖縄におけるバス自動運転実証実験」を実施している。2017年12月には沖縄本島の都市部において、比較的交通量の多い道路での自動走行が行われた。

実証実験の最終日にはプログラムディレクターや大臣官房審議官なども試乗した 実証実験の最終日にはプログラムディレクターや大臣官房審議官なども試乗した

沖縄で実施する理由

 現在、内閣府では「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー)」を推進している。SIPとは、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するためのプログラムのことだ。

 SIPでは現在、11種の課題に対する研究開発を実施している。その中に「自動走行システム」プロジェクトがある。SIP自動走行システムでは「人々に笑顔をもたらす交通社会を目指して」をコンセプトに掲げ、安全性や運転支援技術の高度化に加えて、ユニバーサルな移動手段としての自動走行システムを目指して活動している。

SIP自動走行システムプロジェクト SIP自動走行システムプロジェクト

 同プロジェクトでは、14年度から自動運転技術を公共バスに適用することで、高齢者やその他の交通制約者でも利用しやすく、定時性・速達性・安全性・快適性に優れた次世代都市交通システム「ART(Advanced Rapid Transit)」の研究開発を進めている。沖縄においても、深刻な交通渋滞の解消を図るため「沖縄次世代都市交通システム(Okinawa-ART)」の検討が進められている。

 そうした研究開発と沖縄における渋滞の解消という両面から、今回、沖縄本島都市部の比較的交通量の多い環境における、バス自動運転の可能性と技術的課題について検証を試みたのである。

内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(社会システム基盤)付戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム担当 企画官の伊沢好広氏 内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(社会システム基盤)付戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム担当 企画官の伊沢好広氏

 沖縄は、交通集中による渋滞や過疎地における交通機関のぜい弱性などさまざまな交通課題を抱えている。同県を対象にした自動運転技術を活用したバスの実証実験は、16年度から実施している。今回の実験に先立ち、17年3月には南城市で、7月に石垣島で自動走行実験を実施している。

 内閣府 自動走行システム担当 企画官の伊沢好広氏は「南城市での実験は走行距離が往復2キロだったが、公道での自動運転は初めてという第一歩。石垣市では距離も往復32キロで、実際の路線バスの運行路線で車線変更や信号を使った速度制御などを実施できた」と手応えを感じている。

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