「未来の営業マニュアル」いかがですか

先輩の叱責をバネに巨大案件を手にしたマルコメの営業マンわずか数日で目標達成(1/4 ページ)

» 2018年02月05日 11時00分 公開
[伏見学ITmedia]

「超・営業力」特集:

 「営業の成績がなかなか伸びないなあ」「自社の商品が売れないよ」といった悩みを抱えている人も多いのでは。ビジネス書を読んだり、セミナーに出席したり、なんとかいまの立場から抜け出そうと試みるものの、うまくいかない。

 では「一流」と呼ばれている営業担当者は“ひよっこ”のとき、どういったところに着目し、どのようにして成長してきたのか。本特集はそのきっかけに迫り、二流から一流になるためのヒントを探る。


 「マルコメ」と聞いて、恐らく多くの読者はあの愛らしい坊主頭のキャラクターとともに、「ああ、みその会社だな」と想起するのではないだろうか。

 江戸時代の1854年に創業。長野市に本社を構えるマルコメは、和食になくてはならない調味料であるみそのメーカーとして、日本の消費者に根付いているといってもいいだろう。2017年3月期の売上高は前年比107%の439億9000万円と、業界トップをひた走る。

マルコメのみそ商品「プラス糀 無添加 糀美人」 マルコメのみそ商品「プラス糀 無添加 糀美人」

 ただし、食の多様化などによって国内のみそ市場は低迷中だ。そこで同社は甘酒や米こうじ、大豆といった商品領域で新たな事業の柱を築きつつある。

 そんなマルコメの営業部門において、若手のホープとして大きな実績を上げ続けているのが作本康さんだ。

 現在、東京本部の市販用営業本部に所属し、大手スーパーマーケットを担当する作本さんは、社内のリーダー研修にも選抜されるなど、マルコメの敏腕営業として一目置かれている。大手コンビニエンスストアの大型案件獲得、競合メーカーからスーパーの商品棚のシェアを引っくり返すなど、数々の実績を持つ。営業マンとしての彼の強さは一体何だろうか。

先輩の叱責をきっかけに

 作本さんは05年に新卒入社。業務用商品の営業担当として関西支店でキャリアをスタートさせた。卸問屋を相手に、みそ商品を提案する日々を送った。当時、業務用は好調で、みそも売れに売れていたという。

 作本さんは1年目から営業目標を達成。飛び込み営業を課されたときには、そこで新たな取引ルートを作ったりもした。「そういう成果もあったので、何となく自分は営業という仕事がうまくできていると思っていました」と作本さんは振り返る。

 そんなさなか、先輩社員から「お前は何もやっていない」と叱責された。なぜなのだとふに落ちない部分はあったが、恐らく周囲が求めるレベルには届いていなかったのではと冷静になった。

 そこで痛感したのは、自分の評価というのは自分が決めるものではないということだ。「だったら、他人に認められる、作本はしっかりやっているなと思ってもらえるような仕事をしないといけない。そのためには誰もが文句の言えないような大きな成果を上げることが大切だと思うようになりました」と作本さんは話す。

 では、成果を上げるにはどうすればいいか。漫然と営業するのではなく、この商品をもっと売るにはどうすればいいのか、どうしたら顧客に届くのかと、成功確率を高めるような考え方、行動に変わったという。

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