私たちの心は「スマホ」に乗っ取られたのか世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2018年02月08日 07時31分 公開
[山田敏弘ITmedia]

子ども向けのサービスが批判の的に

 こんな調査結果もある。SNSを頻繁に利用している中学生は、一般的な生徒よりもうつ病になる比率が27%も高い。またある調査では、スマホなどのテクノロジーを使う子どもほど睡眠時間が短くなるという。

 デジタル依存の問題を指摘しているのは、この書簡だけではない。別の活動団体も積極的に声を上げている。特にこのところ、大手のIT企業が子ども向けのサービスを開始しているが、それらが批判の的になっているのである。

 例えば、大手SNSのFacebookは12月、子ども向けのメッセージサービスを開始。「メッセンジャーキッズ」と呼ばれるそのアプリは、写真をカラフルに彩ることができるもので、それまで13歳だった利用者年齢をさらに下げることになる。

 このサービスは親の監視が入ることになっているが、それでも「広告のない小児期キャンペーン」という活動団体が反対の狼煙(のろし)を上げ、「まだ判断力のない」子どもの「健全な成長に有害」なためにSNSを使わせるべきではないと批判している。

 また昨年には、子ども向けのYouTubeである「YouTube Kids」というアプリが不適切な動画を流しているとして、米国で批判的な記事が報じられたりしている。

 そして今、こうした問題意識の高まりに対処するために、大手IT企業の成功を支えてきた初期の元社員たちが立ち上がっており、欧米で大きく報じられている。

 元グーグルの倫理士や、Facebookの元幹部や元運用管理者、アップルやグーグルの広報幹部、Facebookの「いいね」ボタンを開発した人物のほかに、投資家など専門家らが集結し立ち上げていた「人道的テクノロジーセンター」という組織が、デジタル機器の依存症と戦うための「テックの真実」というキャンペーンを開始した。

子ども向けのサービスが批判の的に

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