東京都の「選ばれし6路線」は実現するのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)

» 2018年02月09日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

除外された14路線

 交通政策審議会の答申198号は、東京圏の鉄道建設、延伸に関して24のプロジェクトを挙げた。これらのプロジェクトは優先順位を示さず、目標年度を2030年頃とするにとどまった。今回、東京都が実現に向けた基金を創設することで、対象の6路線が事実上の最優先課題に格上げされたとみていいだろう。

 格上げされなかった路線はどこだろうか。まず、事業地域が東京都ではなく、周辺部にある場合は除外される。東京都が積極的に関与できないから当然だ。

  • 埼玉県内のプロジェクト
    • 東西交通大宮ルートの新設(約400億円)
    • 埼玉高速鉄道線の延伸(約3200億円)
  • 神奈川県内のプロジェクト
    • 川崎アプローチ線の新設(約300億円)
    • 小田急小田原線の複々線化(約1493億円)
    • 小田急多摩線の延伸(約1300億円)
    • 東急田園都市線の複々線化(約800億円)
    • 横浜3号線の延伸(約1700億円)
    • 横浜環状鉄道の新設(約7700億円)
    • いずみ野線の延伸(約1200億円)

 次に、東京都を通るけれども、受益者の主体が他県というプロジェクトが外されている。周辺の県境にまたがるため調整が必要。東京都独自では着手しにくい路線だ。

  • 受益者の多くが千葉県、埼玉県の在住者である
    • 東京8号線の延伸(押上〜野田市、約5800億円)
    • 東京11号線の延伸(約3800億円)
  • 受益者の多くが千葉県在住者である
    • 総武線・京葉線接続新線の新設(約6200億円)
    • 京葉線・りんかい線相互直通運転化
  • 受益者の多くが神奈川県在住者である
    • 東海道貨物支線貨客併用化(約5500億円)
photo 答申198号で示された路線(出典:国土交通省 東京圏における今後の都市鉄道のあり方について

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