4点目は社内制度や組織設計で新規事業を立ち上げやすい環境をつくることだ。新規事業が生まれやすい土壌ができたら、それを後押しする。
ソウゾウでメルカリカウルを立ち上げたのには理由がある。現在、親会社はメルカリを国内だけでなく海外に普及させることを主なミッションにしている。親会社と切り離すことで、新サービスの開発に専念できるようにするためだ。プロジェクトの責任者がやりやすい開発手法を尊重することにつながる。
「ソウゾウに入社すると新規事業ができる」というメッセージを社内外に発することで、自然と新規事業を立ち上げたい人材が集まっている。「ソウゾウのなかにベンチャー企業が多く集まるような形態にしている」(藤崎氏)のだ。
新規事業を応援する制度には「Mercari Tech Research(メルカリテックリサーチ)」がある。これは、海外の先進的なサービスを利用したり、開発者にインタビューをする活動を会社がバックアップするものだ。海外出張費用を会社が全額負担する。メルカリとソウゾウでサービス企画・開発に関わる全ての社員が利用できる。運用面では「基本的に『行きたい』と手を挙げれば承認されるようになっている」(藤崎氏)。もちろん、自分が得た知見を社内で共有することが前提だ。
「メルカリは特別だから」「アプリの開発がメインだから」――。そう考える読者もいるだろう。確かに、社歴が長かったり、関連する部署が多かったりする企業の場合、思ったように新規事業の立ち上げを進めにくい土壌はある。だが、メルカリカウルの立ち上げの経緯にはどの企業にも役立つ教訓が少なからず含まれていると言えるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング