日本ハム本拠地移転、JR北海道はチャンスを生かせるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/4 ページ)

» 2018年03月30日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

 いや、いっそのこと「当社負担で新駅を設置するから、ホテルとショッピングモールはJR北海道グループの札幌駅総合開発でやらせてもらえないか」くらいのことは言ってみたらいい。恐らく北広島市と球団は、大きな構想を決めたものの、札幌ドーム、札幌市街から離れているだけに、集客に関しては不安もあるはずだ。大量輸送手段である鉄道の協力は心強い。「JR北海道が北広島市に貸しを作るチャンス」とも言える。

北広島ボールパークの位置。背後に工業他団地があるところも蒲郡に似ている 北広島ボールパークの位置。背後に工業他団地があるところも蒲郡に似ている

 みどりの窓口で野球観戦券や観戦券付き乗車券の発売、道内各地から観戦客向け直通特急列車の運行、関連会社にとっては優勝記念セールの開催など、私から見ればチャンスだらけだ。鉄道職員だって、JR北海道と日本ハムファイターズが協力関係を結べば、球団のワッペンを貼った制服で接客できたり、イベントを開催できたり、楽しい企画が実現できて士気も上がるというもの。

 格好つけて相手の申し出を待つなんて、もったいぶっている場合ではない。もっと積極的に関わってチャンスを増やすべきだ。北海道民に人気の日本ハムファイターズにあやかり、ボールパーク歓迎の気運に乗れば、企業イメージのアップにつながる。そういう空気を読めないところがJR北海道の残念なところだ。

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.