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» 2018年04月04日 09時00分 公開

データ分析で困りごとに対応:ブリヂストンの変革 「タイヤを売らずに稼ぐ」ビジネスとは? (1/2)

デジタル変革の一歩先を進んでいる企業は、どんな取り組みをしているのだろうか。ブリヂストンは、タイヤという「モノ売り」から、ソリューションビジネスへと変革を進めている。ITmedia ビジネスオンライン編集部主催セミナーで、同社デジタルソリューションセンター長の増永明氏が講演した。

[ITmedia]

 デジタル化時代のビジネスをどう考えればいいのか? 急速に発達するテクノロジーをうまく活用する方法を模索している企業は多いだろう。デジタル変革によって、従来型のモノづくりから一歩進んでいる企業は、どのようなことをしているのだろうか。

 ITmedia ビジネスオンライン編集部主催セミナー「デジタル変革に向けた『伴走』そして、新たな顧客価値のための『共創』へ」が3月、東京都内で開催された。モノ売りからコト(成果)売りへのシフト、部門を横断する取り組みなどによって、デジタル変革を推進していくための考え方を紹介した。

 基調講演は、ブリヂストンのデジタルソリューションセンター長、増永明氏。同社は2017年1月、CDO(Chief Digital Officer)を設置し、デジタルソリューションセンターを設立。タイヤという「モノ売り」から、ソリューションビジネスプロバイダーへの変革を進めている。増永氏がソリューションの事例を交えながら解説した。

photo さまざまなタイヤを扱うブリヂストンのソリューションビジネスとは……

シェア低下で危機感、ソリューション提供へ

photo ブリヂストンのデジタルソリューションセンター長、増永明氏

 「丸くて黒い、ゴムできたタイヤ。この製品とデジタル化はなかなか結び付かないと思います」。増永氏は冒頭、このように語り掛けた。タイヤで世界トップシェアを誇るブリヂストンがデジタル化に取り組む背景には、大きな危機感がある。

 ここ10年間でタイヤ業界は少しずつ地殻変動が起きつつある。05年と15年を比べると、ブリヂストンは変わらずトップシェア。仏ミシュラン、米グッドイヤーと合わせた上位3社の顔ぶれも変わらない。しかし、3社で5割以上あったシェアが4割程度に落ちている。その代わりに台頭してきたのが、中国や韓国などの新興メーカーだ。全体の市場規模は拡大しているため、売り上げは伸びているが、シェアは低下している。

 「タイヤがコモディティ化しており、危機意識を持っている」と増永氏は明かす。「タイヤ売り切りのビジネスでは生き残れない。顧客企業の困りごと解決のためのサービスを提供する、ソリューションプロバイダーに変わるしかない。その方法で生き残っていけるように、舵を切りました」

タイヤを売らずに稼ぐ

 ソリューションサービスをビジネスにするために必要となるのが、デジタル化だ。ブリヂストンで進めているデジタル化は大きく2つ。顧客サービスのデジタル化と、社内のデジタル化だ。増永氏はまず、顧客サービスの事例を紹介した。

 顧客サービスでこれまでと大きく違う点は、「タイヤを売らずに稼ぐ」というビジネスモデル。顧客企業にタイヤを貸して、メンテナンスや管理をする。顧客は、タイヤのローテーションを考えたり、在庫を持ったりしなくてもいい。タイヤの表面が摩耗してくると、適切なタイミングで表面のゴムを張り替えて再利用する(リトレッド)。ブリヂストングループ側が全て管理することで、資源の有効活用にもつながり、経済性や環境負荷低減にも貢献できる。

 代表的な事例が、運送業に対するソリューションだ。新品のタイヤを買ってもらって終わりだったのが、「新品+リトレッド+メンテナンス」のパッケージプランを提案している。適切なタイミングでリトレッドとメンテナンスを実施することで、安全性向上やコスト低減に貢献する。「タイヤまわりはお任せください。何も考える必要はありません。全部やります」というサービスだと増永氏は説明する。

 そのサービスを効率的にサポートするのがデジタル技術。タイヤのセンシング技術を活用して、リアルタイムで異常を検知したり、適正な空気圧を保ったりできる。また、トラックのタイヤ本体の耐久性を予測した上で、タイヤローテーションやリトレッドのタイミングを最適化することで、トータルコストを低減することもできる。増永氏は「デジタル技術の活用を推進し、全てのタイヤの寿命を見極めながら、最も経済的に使ってもらうようにしたい」と説明する。さらに、収集したデータを蓄積・分析し、次の商品開発にも生かすことができる。

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