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コニカミノルタ常務を直撃 「副業解禁に踏み切った理由」「カメラ事業撤退」経験から得た危機感(3/4 ページ)

» 2018年05月10日 08時00分 公開
[勝木健太ITmedia]

副業解禁は「人財版のオープン・イノベーション」

――具体的にどのような人が副業をするケースを想定しているのか。

若島: 従業員が他社で副業をするケースと、外部の方が当社で副業するケースの両方を想定している。従来では従業員が「起業したい」と考えた時に、今までの会社の枠組みでは退職せざるを得なかった。

 また、自ら起業しようとすれば例えば開発の人間であっても、会計を初めビジネスにまつわるあらゆることを勉強しなければならない。その中で気づいたことは大きな財産であるはずだ。そのような人財が会社を辞めるのではなく、副業によって得た知見を当社に持ち寄ってくれれば、その人もレベルアップするし会社としてもプラスになる。そのような人財を、みすみす逃すのは非常にもったいないと考えている。

 一方で、社外の方が当社で副業をしてもらうことも有益だと考えている。コンサルタント契約を結んでいる方などに多かったのだが、フルタイムで当社に勤めるのは難しくてもスポットであれば勤めることができる方が相当にいらっしゃった。そういう方々には逆に当社に入り込んでもらい、コンサルタントとして提案するだけではなく、自ら責任をもって事業に取り組んで欲しいと考えている。起業経験のある学生なども対象にしている。そういう方が週1日でも当社に来ていただき、活躍していただければ有難い。

 よくオープン・イノベーションが大切だと言われるが、「副業解禁」は人財版のオープン・イノベーションだと考えている。だから社内の人間が社外で勉強することを大いに奨励したいし、社外の方が外野席からではなく社内に入り込んで一緒にやってもらいたい。多様な人財が入り混じることが大切だと考えている。

――貴社は副業解禁と同時に「ジョブ・リターン制度」という新たな制度を始められたが、同じ発想で始められたのか。

若島: おっしゃる通りだ。これまでは、ジョブ・リターン制度と言えば、育児や介護、配偶者の海外転勤などによって、退職せざるを得なかった人財の職場復帰を可能にする制度を指すケースが多かったように思われる。だが、今回の当社による取り組みでは、それらに加え、キャリアアップのための留学や転職を理由に退職した人財の「出戻り入社」もスコープに加えている。 

phot 「ジョブ・リターン制度」の概要

 いろいろな事情により、当社を一旦は離れざるを得なかった人財でも、 数年後に戻ってきて、 社外で培ったスキルやノウハウを還元してくれるのであれば、こんなにうれしいことはない。このようにして、当社で育った若くて優秀な人財がどんどん社内外で活躍し、イノベーションを生み出す「起点」になってくれれば、当社にとっても間違いなくプラスだと考えている。

 繰り返しになるが、会社に残った人財だけで「仲良くやりましょう」という時代はもう終わっている。いろんな人間が入り混じって火花を散らせることが、「課題解決型デジタルカンパニー」を目指す当社には必要だ。当社は若い従業員にとって「魅力ある会社」でありたいとも思っている。魅力ある会社の定義には「初任給が高い」、「成長できるローテーションがある」など様々あると思うが、会社のポリシーに共感できるかどうかが大きいのではないか。従業員を縛り付けるだけでは魅力的な組織にはならないと思う。

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