[東京 20日 ロイター] - 米シリコンバレー式のエンジニア向け訓練校、コードクリサリスのカニ・ムニダサ共同創立者兼最高経営責任者(CEO)は2月、日本の財界トップを前に講演し、ソフトウエアが日本企業の未来を脅かしていると警鐘を鳴らした。
昨年7月に東京で開設した同校は、日本のソフトウエアエンジニアの水準を世界標準に引き上げるべく、ブートキャンプ(新兵訓練)と呼ばれる集中講座を開いている。
クオンタムリープのファウンダー兼CEOで、コードクリサリスのアドバイザーを買って出た出井伸之氏の招きで講演したムニダサ氏は、「出井さんからは『何事も甘い言葉でごまかさず、率直に話すこと。出席者は変化が不可欠だと言ってもらう必要がある』と説明を受けた」と振り返った。
出井氏らによると、日本は「ものづくり」に強いとされてきたが、人工知能(AI)やロボット技術、機械学習などが銀行業から自動車まであらゆる産業に広がるにつれ、取り残される危機に直面している。
日本企業はソフトウエアを価値を高める手段ではなく単なるコスト削減の方策と位置付け、ソフトウエアエンジニアも一段低く扱ってきた。日本の初級レベルのソフトウエアエンジニアの平均報酬は約4万ドルと米国の半分以下だ。
コードクリサリスの教育プログラムは、シリコンバレー式のブートキャンプにより、遅々として変わらない日本の企業文化に変化をもたらそうとするものだ。教育プログラムは12週間で、プログラミング技術のほか人前で話す技術、さらには肉体の訓練なども盛り込まれている。昨年7月の開校以来、十数人が卒業して6人が受講中だ。
受講生にとってコードクリサリスで教育を受ける効果ははっきりしている。同社によると、受講生は卒業後に給与が平均で80%近く増えている。
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