串カツ田中が6月1日に、立ち飲み形式の3店舗を除く全国の181店舗を全面禁煙化してからはや1カ月が経過した。家族連れの満足度向上、従業員の受動喫煙防止、新規顧客の獲得などが狙いで、かつては紫煙が立ち込めていた店内からたばこは消え、代わりに子どもたちの姿が見られるようになった。
ただその半面、“行きづらくなった”と感じ、足が遠のいた喫煙者がいるのも事実だ。ブランドイメージの変革につながる一方で、大きな反動が伴う施策といえるが、この1カ月間で串カツ田中の客層や売り上げにはどんな変化があったのか。
串カツ田中を運営する串カツ田中ホールディングス(HD)が7月5日に報告書を公表し、全面禁煙化で得た成果と課題点を明らかにした。
串カツ田中HDによると、6月中の直営店(86店舗)の来客数は前年同月比2.2%増だった一方、客単価は5.0%減。売上高は2.9%減少した。
客単価が減少した要因は禁煙化の周知を図るために実施した、串カツを全品108円(税込、以下同)に値下げする「感謝祭キャンペーン」や、ドリンク全品を216円均一とする「200店舗達成キャンペーン」などの顧客還元策によるものが大きいという。
客層の変化については、家族連れが前年同期から6%増、20代以下の男女グループが1%増、女性グループとカップルが1%増という結果に。一方、会社員の男性グループは6%減、30代以上の男女グループは1%減となった。
串カツ田中HDによると、禁煙化によって子どもや未成年の来店が増えたため、アルコール類の注文が減ってソフトドリンクが増えたことも客単価が下がった要因だという。
ただ同社は「増えた客層・減った客層が明確に分かったため、かえって年代別のアプローチ策を打ちやすくなった」(経営戦略部)と前向きな姿勢を見せる。具体的な販促策は現時点では未定だが、「今後も、未成年からお通し代を取ることはない」(同)という。
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