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特集
» 2018年08月01日 06時00分 公開

知られざるビジネスモデル:いつも暇そうに新聞を読んでいる不動産屋はなぜベンツに乗っているのか (1/4)

いつも店舗で暇そうにしている不動産屋を見かけたことはないだろうか。ビジネスパーソンがせっせと働いているのとは対照的だが、どのようにして稼いでいるのだろうか。そのビジネスモデルを解剖する。

[昆清徳,ITmedia]

数字で読み解く「もうけの仕組み」:

 「あんなに暇そうなのに、どうしてあのお店はつぶれないのか」「こんなに安い価格で本当にやっていけるのか」――世の中には知っているようで知らない「もうけの仕組み」がたくさんある。身近な企業を例に利益構造を学び、ビジネスとお金のセンスを磨いていこう。

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 アパートの部屋を探すために駅前にある不動産屋のお世話になった経験のある人は多いだろう。毎年、2月や3月になると物件探しの人でにぎわうが、それ以外の時期になるといつも新聞を暇そうに読んでいたり、観葉植物の手入れをしているおじさんを見かけることがある。

 ビジネスパーソンがあくせく働いてやっと生活できているのに、駅前という一等地に店舗を構える町の不動産屋はどのようにして稼いでいるのだろうか?

 『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社)などの著書があり、不動産業界に精通しているオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏に話を聞いた。

photo 物件探しで町の不動産屋にお世話になる人は多い(写真提供:ゲッティイメージズ)

定期的な収入だけではもうからない

 不動産屋には定期的な収入と非定期的な収入があるが、まずは前者について解説しよう。

 1つ目はアパートといった物件の管理料だ。これは、物件を所有する大家の代わりに店子からのクレーム対応や、修繕の手続きを行うものだ。例えば、「天井から雨漏りがする」というクレームが住民から寄せられると、不動産屋は工務店と日程調整をしたり、大家と打ち合わせをしたりする。一般的に家賃収入の2〜3%が支払われる。家賃8万円で部屋数が10戸のアパート管理を引き受けたとすると、年間の家賃収入は960万円(8万円×10戸×12カ月)なので、約20万円の収入となる。

 2つ目はテナント(アパートの住人やレストランなど)の入れ替わりに伴う手数料だ。解約手続きや原状回復に伴う実務を代行することで、賃料の1カ月分が不動産屋に支払われる。この手数料は借主と大家が折半して支払っていることが多い。

 3つ目はテナントの契約更新に伴う更新料だ。アパートを借りている場合だと、借主は2年ごとに家賃の1カ月分を更新料として支払うケースが多いが、そのうちの半分が不動産屋の収入になる。

 仮に、ある不動産屋が10棟のアパート管理を手掛けていたとすると、定期的な収入だけでは従業員を雇うことは難しい。牧野氏は「不動産の管理業務は手間はかかるが、大きなもうけにはつながりにくい」と説明する。

 では、他にどんな収入源があるのだろうか?

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