「あんなに暇そうなのに、どうしてあのお店はつぶれないのか」「こんなに安い価格で本当にやっていけるのか」――世の中には知っているようで知らない「もうけの仕組み」がたくさんある。身近な企業を例に利益構造を学び、ビジネスとお金のセンスを磨いていこう。
連載第1回:家電以外の商品を売り始めた家電量販店を悩ます「リベートの減少」
連載第2回:ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのか
連載第3回:いつも暇そうに新聞を読んでいる不動産屋はなぜベンツに乗っているのか
連載第4回:家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
連載第5回:値上げをしたのに客数が増えた焼き肉店の謎
連載第6回:ワタミを救った「鶏肉」に外食チェーンが熱視線を送るワケ
多くの人にとってごちそうの代名詞である焼き肉。皆さんは最近焼き肉店に行って「なんか前より高くなったな〜」と感じていませんか? その感覚は間違っていないかもしれません。実は和牛の取引価格はここ数年でかなり上がってきています。
こちらの表を見てもらえば分かるように、2014年度と比べたとき、17年度末における和牛(A4去勢)の市場価格は128%になっています。一方で国内における和牛の生産量は年々減り続けており、この背景には和牛農家の高齢化などがあります。高齢化という日本全体が抱える問題が和牛の市場にも影響しているのです。
その他にも人材不足に伴う採用費の高騰、ビール各社の値上げによる食材価格の高騰、各種労務費の負担増など、焼き肉店に限らず飲食業界全体を取り巻く経営環境はますます厳しくなってきています。
今回紹介するのは現在4店舗を展開している和牛焼き肉店の取り組みです。これまで順調に売り上げと利益を伸ばしてきましたが、数年前から続く黒毛和牛やその他商材の仕入れ価格高騰により、店舗の原価率が2%上昇していました。皆さんは「たった2%だったら値上げなんかせずに企業努力で乗り切れ!」と思うかもしれませんが、飲食店にとって2%の原価率アップは死活問題となります。これは具体的な数値を計算すると実感してもらえるはずです。
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