熱中症の被害者が出ても、夏の甲子園が絶対になくならない事情スピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2018年08月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 夏の甲子園が始まった。

 今年はどんな感動のドラマが生まれのるかワクワクして、仕事にまったく手がつかない。そんな全国ウン千万の甲子園ファンのうれしい悲鳴が聞こえてきそうだが、実はみなさんの盛り上がりに水を差すような意見がネットの一部で盛り上がっているのをご存じだろうか。

 全国で多発する熱中症被害を受けて、「涼しい秋の開催にしたほうがいいのでは」「ドーム球場の開催を検討すべき」などと「夏の甲子園」に異論を唱える方たちが続発しているのだ。

 「バカ言うな! 暑いなかでやるから甲子園なんだ」「100年も続く“聖地”をそう簡単に動かせるか」と怒りで発狂する方もいらっしゃるかもしれないが、そこは安心していただきたい。

 いまの日本社会の状況を冷静かつ客観的に振り返れば、「夏の甲子園」がなくなることなどまずありえないからだ。

「夏の高校野球」に水を差すような意見が出ているが……(写真提供:ゲッティイメージズ)

 いま高野連が盛んに触れ回っている水分・塩分補給などの熱中症対策は文字通り「焼け石に水」なので、今後も熱中症の悲劇は繰り返されるだろう。だが、どんなに犠牲者が出て最悪、死者が出るようなことになったとしても、なんやかんやと理由をつけて「夏の甲子園」の続行はかたい。その理由として、以下の3つがあるのではないかと考えている。

(1)「甲子園ムラ」の強い抵抗

(2)ジャーナリズムの忖度(そんたく)

(3)「運動部しごき自慢おじさん」が組織の要職に就いている

 なんとなく分かるというものから、なんのこっちゃというものまでもあると思うので、(1)から説明していこう。東京五輪は海外メディアから「殺人オリンピック」なんて揶揄(やゆ)されているが、開催時期を変えることができない。莫大な「放映権料」が発生しているからだ。

 この構図は、「夏の甲子園」にもまんまあてはまる。

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