(1)危機意識を高める
ジョン・P・コッター教授の著書「企業変革力」は、リーダーシップ論の名著であり個人的にも座右の書です。コッター教授は同書において、大規模な変革を実現するためには8つのプロセスが有効であると述べています。
大規模な変革を推進するための8段階のプロセス
1. 危機意識を高める
2. 変革推進のための連帯チームを築く
3. ビジョンと戦略を生み出す
4. 変革のためのビジョンを周知徹底する
5. 従業員の自発を促す
6. 短期的成果を実現する
7. 成果を生かして、さらなる変革を推進する
8. 新しい方法を企業文化に定着させる
――「企業変革力」(P45)
このプロセスの1番目であり、全てのスタートとなるのが、危機意識を高めること。原著では「Create a sense of urgency」として表現されるくらい、とても緊迫度が高い項目です。そのあとの同教授の著書「企業変革の革新」は、邦題こそそのようなタイトルになっていますが、原著は「A Sense of Urgency」であり、この危機意識を高めるという最初のステップがいかに重要かということが分かります。
本物の危機意識を高める基本戦略と4つの戦術
・基本戦略
・頭(理性)と心(感情)の両方に訴えかけ、目を覚まさせ、行動を促す
・戦術
1. 外を内に呼び込む
2. 危機感を行動で示す
3. 危機を好機とみなす
4. 変革否定論者に対処する
――「企業変革の革新」(P80から一部抜粋)
コッター教授は、危機意識を維持し続けるために必要な点を、上記のように述べています。
変革を阻む免疫機能の恩恵を受けてさまざまな不安に対処し、今の仕事を進めるために最適化された現状は、まさに変革を望まない「このままでいい」という心理を生み出すもの。言い方を変えれば、本当に危機感を感じる必要がないという状況は理想的なのもしれません。
しかし、ビジネス環境はさらに複雑になりながら変化していますし、働く個人もそのライフステージに応じて変化が必要になってくるものです。いかにして変革の必要性と重要性を個人・組織の両面で感じることができるか。そして、なぜ今変わらなくてはいけない緊迫感があるのか。これを高めることが変革の第一歩であることは大きくうなずけます。
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