自分の担当業務以外で、各部署にそれぞれ専門家が存在することも大企業で働く魅力だ。例えば、営業や企画などの役職に就いた場合、仕事の中で人事部、経理部、財務部、法務部などの間接部門と、仕事上で絡むケースも出てくる。意識の持ち方にもよるものの、彼らの仕事ぶりを「自分事」として見てみると、間接部門の社員がどのような業務をしているかを学ぶことができるのだ。
これがベンチャー企業の場合だと、言い方は悪いが、素人または素人に毛が生えた程度の人材が、経理や法務といった業務を兼務していることもあり、間違った手法や、時として違法なやり方が横行しているケースもある。
また、日本の就職や転職市場を考えると、「新卒カード」は依然として強力な武器となるのだ。そうなると、大企業からベンチャー企業への転職は十分可能である一方、その逆となると、難易度が数倍に上がると考えられる。よって、大企業で経験を積んでからベンチャー企業に転職するというパス自体は、合理的な選択だと言わざるを得ない。
しかも、前述した「大企業の欠点」には、もう一つの「皮肉な現実」がある。実はベンチャー企業が順調に成長し、その企業が大きくなればなるほど、入社当初はなかったはずの「大企業の欠点」が徐々に出てくるのだ。大企業の非効率で不条理な働き方が嫌でベンチャー企業に入社したのに、そのベンチャーがうまくいけばいくほど、「大企業の欠点」を味わう機会が増えてしまうのである。
そういうこともあり、場合によっては最初からベンチャー企業へ入社を勧めるケースもあるのは事実だ。やりたいことが明確で、その分野において、すでに一定の力があると認められる場合は、大企業には行かず、最初からベンチャー企業に入社した方がキャリアを築ける可能性が高いのである。
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