回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった徹底的な効率化を推進(1/5 ページ)

» 2018年10月11日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 「すいません。後ろを通りまーす」

 やっと2人がすれ違えるくらいの幅の通路を、従業員がせわしなく移動している。天井からは白いコードが何本もぶら下がっており、業務用の大きな冷蔵庫や調理マシンに電気を供給している。ピーク時ではないにもかかわらず、厨房はまるで戦場のような忙しさだった。

 ここは、くら寿司越谷下間久里店(埼玉県越谷市)。ロードサイドにある9月にオープンしたばかりの新店だ。普段、大手回転すしチェーンを利用していると、厨房の中がどうなっているのか、そこで働く人は何を考えているのか、なかなか知る機会はない。そこで、くら寿司の店舗に足を運び、取材してみた。

photo くら寿司で新店のオープニングリーダーを務める田村祐也氏(27歳)

調理マシンがずらりと並ぶ

 「握りロボット」「細巻きロボット」「軍艦ロボット」「オートフライヤー」「ゆで麺機」――厨房に入ってまず目に飛び込んでくるのは数々の調理マシンだ。くら寿司は、すしだけでなくラーメンやスイーツなど160種類以上のメニューをそろえている。注文を受けてから迅速に商品を提供するために、これだけの設備投資を行っている。

 例えば、厨房内にあるすしレーンの近くには握りロボットが設置されている。ロボットの上からシャリを入れ、ボタンを押すと自動でシャリが出てくる。内部にはいくつかの歯車があり、シャリがそこを通ることで、口に入れたときにふんわりとした食感となる。シャリを握る強さや生産するスピードを調整できるようになっており、1時間で3600貫つくることが可能だという。広報担当者は「1台で5人分の働きをします。このロボットの一部はくら寿司向けの仕様となっています」と説明する。

 実際にすしをつくる様子を見せてもらった。ボタンを押してつくった2個のシャリ両手でつかんで、皿に乗せる。そして、あらかじめスライスされた2個のネタを両手でつかんでシャリに乗せ、レーンに流す。あっという間の出来事だった。作業台の上部にはネギトロに乗せるネギなどが並び、下部には冷蔵庫が設置されている。つまり、一歩も動くことなく、最速ですしが提供できるように設計されているのだ。

photo くら寿司の厨房内の様子
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