管理職を巡る競争はかつてないほどに激しく、企業によっては昇進基準を上げて、管理職に充てる人材を厳選する企業が増えています。
なぜか? 管理職はなぜ、減ってしまったのか?
人件費の抑制と組織のスリム化です。企業は「無駄をなくせ!」の大合唱で、カネも人も減らしました。
一方で、仕事量は増加。はてしなく増大しました。人は減る、管理職も減る。守備範囲は広がり、責任は増える。上からは「成果を上げろ!」「結果を出せ!」とたたかれ、下(=部下)からは「それ、意味あるんっすか?」と突かれ、ちょっとでも部下に厳しくしようものなら「パワハラだ!」と抗議され、ちょっとでも残業させようものなら「ブラックだ!」と非難される。
数(=人)と量(=仕事)のアンバランス、そこに質(=責任)が掛け合わさっているのが「管理職のリアル」です。
この過酷さは「管理職の死亡率が5年で7割も増加」という、驚くべき数字をもたらしました。厳しすぎるリアルを突き止めたのは、北里大学公衆衛生学部の和田耕治氏らの研究グループです。
「1990年代後半に起きたバブル崩壊以降の雇用形態の変化に伴い、働く人々の健康状態の悪化や自殺者が増加した詳しい要因」を探ろうと、研究グループは「30〜59歳の男性の死因および死亡前に就いていた職業のデータ」などを、1980年から2005年まで縦断的に解析しました。
その結果、管理職および専門職を除く全ての職種で、全死因の年齢調整死亡率(年齢の影響を除いた死亡率)とこれに含まれる4大死因(ガン、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、不慮の事故)が漸減しているのに対し、管理職および専門職の年齢調整死亡率は、1990年代後半から2000年にかけてそれぞれ約70%上昇していたのです。
それだけではありません。自殺率については1995年以降、職種を問わず上昇傾向が見られ、特に管理職における増加が著しかった。1980年から2005年の25年で、自殺は271%も激増していました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング