あの大企業も大炎上 「しかるべき手続き」の落とし穴河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/6 ページ)

» 2018年05月11日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

 「企画段階からしかるべき社内手続きをしていましたが、こうした炎上は予期できていなかった。お客さまを不快にさせてしまった結果を真摯(しんし)に受け止め、削除しました」

 キリンビバレッジの広報担当者は、同社の炎上騒ぎについて、ハフポスト日本版の取材に対しこう答えました。

 しかるべき手続き。なんだかとってもサラリーマン的なお言葉です。おそらく美しいお言葉の裏には、「何でそんなに騒いだり、怒ったりしてるのか、ち〜っとも分からない。だって僕たち、会社のルールに基づいて、きちんとやってきたも〜ん。僕は、何にも間違ったことしてないも〜ん」というホンネがあり、広報の方はこの「しかるべき手続き」にこそ、罠(わな)が潜んでいることに全く気付いていないのでしょう。

 罠? はい。そうです。時にとんでもない“あやまち”を引き起こす、困った心のメカニズムです。

 というわけで今回は「組織のしかるべき手続き」について考えます。

photo 「しかるべき手続き」が行われたのに、なぜ間違ってしまったのか(写真は記事と関係ありません)

 まずは“事件”をざっと振り返ります。

 キリンビバレッジがTwitterの公式アカウントから、PRキャンペーンとして「午後の紅茶」を飲んでいそうな女性のイラストを投稿し、「確かに、私の周りにいる…かも!?」と思ったらリツイートしてほしいと呼びかけたところ、「顧客をばかにしている」「不愉快」「二度と買いたくない」などなど批判が大殺到。

 5月1日、キリンビバレッジは該当ツイートを削除して、謝罪文を発表する事態になりました。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.