働き方が多様化する中で、「ポストミレニアル世代」と呼ばれる若者は、「働く」ということをどう捉えているのでしょうか。17歳の時に株式会社Yokiを起業した東出風馬さんにお話をうかがい、その仕事観を探ることにしました。(前編:社長がフルコミットする必要はない――ポストミレニアル世代の経営戦略)
前編で「人の手を借りなければ何もできない」と語った東出さんは、自律的なチームをマネジメントすることで、プロダクト開発を推進していました。後編では東出さんに、日本のスタートアップシーンに対する考えや「小さなプロジェクトを立ち上げやすい環境」をつくる目的、そして「幸せ」についても尋ねてみました。
WORK MILL: 東出さんはなぜ、働き方に興味を持っているのですか。
東出: ロボットの事業を始めたころ、もしかしたらそれより前だったかもしれませんが、かなり昔から資本主義の素晴らしさと資本主義の闇みたいな部分の両方を感じていました。そしてモノを売っていくというのはある意味で資本主義なわけで自分がやっている資本主義があるところでは問題を引き起こしていることがとても悔しかった。だから常に今の資本主義をどうアップデートしていけば世の中が幸せになるんだろうかと考えていました。そして、小さな小さなプロジェクトを皆が回していく世界というのが今の資本主義をアップデートし、あらゆる問題の解決の糸口になるのではないかと思いました。
WORK MILL: それで、ご自身でも小さなプロジェクトを実践しているんですね。
東出: 昔から環境問題などに興味があって、課題に対して、何か新しい技術でアプローチしたり、人を送り込んだりすることで解決していくのは、間違いなく必要なことだし、珍しいことではないと思うんです。
でも、それをやっても埋まらない隙間は確実にある。単に「環境保全するためには節電すればいい」みたいな話じゃないんです。まずは「10人に届けばいい」という感覚でもいいから、いろんなプロジェクトをやってみて、お互いに助け合える環境があれば、マズローが言うところの自己実現欲求が叶えられるし、ニッチなニーズにも応えられるし、そういうプロジェクトがどんどん増えて集合体になっていけば、確実に世の中は良くなるんじゃないか、という考えがあるんです。
WORK MILL: それはある種、資本主義の中ではこぼれ落ちてしまう部分かもしれません。
東出: 大きなビジョンを実現しようとすることと、小さなニーズを拾っていくこと、どちらも大切だと思うんです。僕の中では、Yokiが大きなビジョンを叶えられる環境で、他に掛け持ちしているプロジェクトが、小さなニーズのほう。その両軸を持っていることに意味があって、中間にはあまり意味がないと思っています。
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