15兆円を目指すスポーツ市場、何を増やすのか?観戦ビジネスの強み(1/3 ページ)

» 2018年10月31日 11時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 日本の成長戦略の一環として、スポーツ市場を2025年までに15兆円の市場規模を目指すらしい。

 2016年のBリーグの発足に続き、先日は卓球がTリーグとして、プロスポーツ界に加わり、日本のプロスポーツ界も少しずつにぎわいを見せてきている。

15兆の内訳をどうするか

 現在の日本におけるスポーツ市場は、日本政策投資銀行の資料を見ると、2012年時点のGDSPは全体で約11兆4000億円。公営ギャンブルを除けば約7兆円だそうだ。内訳は施設が約2兆、小売りが約1.7兆、教育が約1.5兆、放送・新聞が約0.4兆、スポーツの興業が約0.3兆となっている。

 よく言われるのは、2002年ごろから2013年ごろまでは、スポーツ市場は年々減少を続けてきたものの、ここ数年は、健康志向にものっかり、微増していると伝えられている(特に、フィットネスクラブなどが好調らしい)。そういう意味でも、今後のテコ入れ如何によっては、15兆を目指すというのは、まんざら夢物語でもない気もする。

 もともと15兆がどこからきているのかというと、米国のスポーツ市場が約50兆と言われ、人口比、GDP比で見ても、約3分の1の15兆というのは、適正(?)なのだろう。

 では、米国のスポーツ市場というのは、どのような内訳になっているのだろうか。

 「米国スポーツ市場・産業動向調査」(2018年3月 日本貿易振興機構)に、米国における、スポーツ産業の内訳が詳細に紹介されている

 その中にある「スポーツ産業に関連するNAICSコード別出荷額、売上、収入(2012年)」では、スポーツ用品店などでの小売りが約4兆5000億円、フィットネスやゴルフ場といったスポーツ施設が約6兆円、スポーツ観戦が約3兆7000億円となっている。

 全体で50兆というなら、合わせても約15兆。残りはテレビ放映権や広告収入、選手の給料といったところか。

 日本の数値とは、かなりデータの取り方に違いがあるだろうから、正確に比較することはできないが、ひとつの目安にはなるだろう。

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