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ニッポンの職場が激変? 年収大幅減、下請けに丸投げなどの懸念も“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)

» 2018年11月12日 07時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

 2019年4月に働き方改革関連法が施行される予定だ。しかしながら、対応が十分にできている企業は少ない。今の状態で法律が施行された場合、年収の大幅減や中小企業におけるサービス残業の横行、生産の縮小などさまざまな悪影響が懸念される。

 本来の趣旨である、生産性の向上に結び付く「ホンモノ」の業務改革が求められている。

「ホンモノ」の働き方改革とは?(写真提供:ゲッティイメージズ) 「ホンモノ」の働き方改革とは?(写真提供:ゲッティイメージズ)

19年4月以降、労働環境は激変する

 18年6月に成立した働き方改革関連法が、いよいよ19年4月から段階的に施行となる。同法は1つの法律ではなく、労働基準法や労働契約法など合計8つの法律で構成されているが、一連の法律の中で職場に最も大きな影響を与えるのが残業時間の上限規制である。

 現行の労働基準法が定めている労働時間は「1日8時間、週40時間」である。この時間を超えて労働者を働かせることは違法だが、これには例外規定が存在していた。企業と労働者が協定を結んだ場合に限り、法定労働時間を超えて仕事をさせることができる、いわゆる「36協定」である。一般的には、この協定の存在が長時間残業の元凶と言われてきた。

 厚生労働省は36協定を結んだ場合でも、残業時間について「月45時間、年360時間」を限度にする目安を定めていたが、あくまで目安であり、強制力が伴わないことから、現実にあまり顧みられることはなかった。

 今回、法律に盛り込まれた残業時間の上限規制では「月45時間、年360時間」という基準が明確化された。繁忙期など、どうしても残業を行う必要がある場合においても、45時間を超えて残業できるのは6カ月までに制限され、年間の上限は720時間となる。

 また、10日以上の年次有給休暇が付与されている労働者については、5日分の取得が義務付けられたので、有休が消化できない事態も減少すると考えられる。

 新しい法律では罰則規定が設けられているので、上限規制を超えて労働させた企業は処罰される。法的な拘束力を持ったという事実は大きく、無制限に近い残業が放置されている現状と比較した場合、まさに劇的な変化といってよいだろう。

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