ロボット開発の覇権、Googleにとって代わるのはソフトバンクか?“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2018年11月22日 07時35分 公開
[加谷珪一ITmedia]

当初は軍事目的の色彩が濃かった

 二足歩行ロボット(もしくは四足歩行ロボット)は、見た目のインパクトの大きさから世間の関心を集めているが、どの程度、事業機会があるのかという疑問の声は常に存在していた。

 テクノロジーというのは、実際に製品やサービスが市場に出てこなければ、本当のニーズは顕在化しないので、開発時点の価値観で技術の是非を判断することは間違っている(従って、SCHAFTに見向きもしなかった産業革新機構の判断は正しいとは言えない)。しかしながら、どこかのタイミングで巨大なニーズが生まれない限り、その技術が広く普及する可能性は低い。

 ロボット開発の初期段階において、製品の最大の買い手として軍が想定されていたことはほぼ間違いない。Boston Dynamicsは国防総省から開発資金の提供を受けており、前述のロボット・コンテストも国防総省傘下の機関が主催していた。

 ロボット開発企業はどこも情報公開に極めて消極的だったが、こうした状況と無縁ではないだろう。民生向けの技術を開発するテクノロジー企業は、開発が不十分な状況であっても、メディア向けにプレスリリースを何度も出し、メディアでの露出を高めたがるという状況と比較すれば一目瞭然である。

 軍隊は車両や武器など大量の装備品を保有している。技術が進歩し、ロボット兵器を実用化するメドが立ったとしても、既存の車両や武器をすべて新しくするのは現実的ではない。もしロボットが人型であれば、人間の兵士が使うことを前提に作られた装備品をそのまま使うことができる。軍用ロボットが人型である必然性はないにもかかわらず、二足歩行ロボットの開発企業に強い関心を示したことには、こうした背景があると考えられる。

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