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» 2018年11月28日 08時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:フランス政府の思惑 ゴーン問題の補助線(3) (1/4)

多くのメディアではルノー日産アライアンスを成功例と位置付けているが、筆者はそれに同意しない。提携以来、ルノーの業績は右肩下がりを続け、日産自動車が新興国で汗水垂らして作った利益を吸い込み続けているからだ。

[池田直渡,ITmedia]

短期集中シリーズ「ゴーン問題の補助線」

第1回:資本主義経済に対するテロ行為

第2回:日産リバイバルプランがもたらしたもの


米ペブルビーチで発表されたインフィニティのEVスポーツカーコンセプト 米ペブルビーチで発表されたインフィニティのEVスポーツカーコンセプト

 大手メディアの多くはルノー日産アライアンスを成功例と位置付けているが、筆者はそれに同意しない。提携以来、ルノーの業績は右肩下がりを続け、日産自動車が新興国で汗水垂らして作った利益を吸い込み続けている。

 さらに電動化をはじめとする技術もほとんどが日産自動車のものだ。筆者は過去のルノーの走りについて、あるいは走らせる技術については深い敬意を示したいと思うが、こと未来の競争領域、いわゆる、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動)を束ねたCASEの領域の技術においては、ルノーは相当に遅れていると考えている。そして現在、それらはほとんど日産自動車の技術で補完されている状況である。

日産自動車は早くから自動運転や電動化に取り組んできた。写真は無人タクシーの実証実験 日産自動車は早くから自動運転や電動化に取り組んできた。写真は無人タクシーの実証実験

 前回の記事で詳細に説明したように、日産自動車はルノーに救われた。それは厳然たる事実である。しかし以来17年間の多くをルノーに尽くすことで過ごしてきた。利益も技術もずっと提供し続けているのだ。「死の淵から救い出された借りは返した」と言えるタイミングをいつだとするのかには諸説があるだろうが、少なくとも今の状況が永続的に続くことはアライアンスとして健全とは言えない。

 ルノーの前身はルノー公団で、かつてのフランス国営企業であり、現在でもフランス政府が15%の株を所有する筆頭株主である。今回のバックグラウンドは、すでに多くのニュース解説で述べられている通り、CASE技術を持つ日産自動車と三菱自動車という2つの会社を日仏両政府が奪い合っていると見ていいだろう。「日本の自動車メーカーが電動化に出遅れている」などという認識でいる限り、この構図は分からない。日本は次世代技術の宝を持つメーカーがひしめいている世界でも特異な国なのだ。

 日本の自動車メーカーが電気自動車(EV)に出遅れているという主張は、主にドイツのプロパガンダだという事実があまりに無視されている。

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