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日本の介護問題、処遇改善よりも効果的な人材不足への対応策をカギは高技能労働者(2/6 ページ)

» 2018年12月28日 08時00分 公開
[石橋未来大和総研]
株式会社大和総研

介護労働者とは誰か

 深刻な介護人材不足に対処する上で、介護労働者の属性を確認しておくことが重要である。

 図表2の上の円グラフは男女別、雇用形態別に見た介護労働者の割合だが、介護労働者全体の4分の3は女性であり、さらにその半分以上が非正規の職員・従業員であることが分かる。

 図表2の下の左右の棒グラフでは、男女別・正規非正規別の介護労働者を年齢階級別に示している。

図表2 介護労働者の属性(2017年10月1日現在) 図表2 介護労働者の属性(2017年10月1日現在)

 男性の場合、正規の労働者は30〜34歳など若い層に人材が集中し、60歳以上は少ない。また非正規は、60〜64歳と65〜69歳を除いてどの年齢階級も1万人に満たないなど、介護分野で働く非正規の男性は限られている。

 一方、女性の場合、正規では20〜59歳の各年齢階級でそれぞれ5万人以上であり、若い層も含む幅広い年齢層で人材が多い様子が分かる。また非正規は40歳以上に多く、うち女性非正規の35%にあたる約26万人が60歳以上である。

 このように介護労働者の多くは女性であり、正規を中心とした若い層から60歳以上の非正規まで、幅広い年齢層が担い手となっている。こうした実態を踏まえれば、介護人材の確保や定着を考える場合、正規にしろ非正規にしろ女性労働者を中心に施策を講じなければ、十分な効果が得られないことは明らかだろう。

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