(2)の「長時間労働を強いる職場の同調圧力」については、最も象徴的なシーンが昨年のドラマ放映時にあった。それは、定時で帰る社員に他の社員たちが文句を言う、というくだりである。
ネタバレになるのであまり詳しく述べないが、この定時で帰る社員は、家庭の事情で早く帰らざるを得なかったのである。また、自分に任されていた仕事に関しても決して手を抜くようなことはしていなかった。
が、人をイラっとさせるような特異なキャラクターと、「定時に帰る」という事実だけで、周囲から腫れ物のように扱われていたのだ。このことからも佃製作所の職場には、「人と異なる働き方は認めない」「みんなが残業しているのに帰るのは許せない」という「同調圧力」がまん延していることがうかがえよう。
もちろん、これはあくまでドラマの話だが、もし現実にこのような職場ならブラック企業のそしりを受けるのは言うまでもない。
士気を下げる。チームの輪を乱す。自分勝手な行動で周囲に迷惑がかかる。このような言いがかりで上司から理不尽なパワハラを受けたり、社内で孤立したり、という「ムラ社会ならではの集団リンチ」というのは、ブラック企業にかかわらず、日本の労働現場でたびたび問題とされる「悪しき慣習」だからだ。
ただ、佃製作所が、日本の「悪しき労働文化」を肯定していると筆者が感じる最大の理由は、(3)の「とにかく気合いで乗り切る精神至上主義」という点にある。
ドラマをご覧になっている方ならばよく分かると思うが、佃航平社長はとにかくアツい。朝礼で社員に語りかける時も熱意むき出しで、自分の思いを伝えるため土下座までしてしまうほどだ。
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