#SHIFT

公立中学校長が定期考査を「全廃」した理由――成績を“ある時点”で確定させることに意味はない麹町中学・工藤勇一校長の提言【中編】(3/4 ページ)

» 2019年05月09日 05時00分 公開
[工藤勇一ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

テストの目的は「学力の定着を図る」こと

 テストを実施する目的は何でしょうか。「学力の定着を図る」ためのものでなくてはなりません。ここにも、「目的と手段」のねじれが見られます。

 「定期考査をなくす」のは、生徒たちに楽な思いをさせるわけでも、高校受験を軽視するわけでもありません。生徒たちを第一志望の学校へ進学させる上でも、定期考査を見直す必要があると判断しました。その上で、全ての生徒が効率的に学力を高められるよう、学習システムの再構築を図りました。具体的には、定期考査をなくした代わりに単元テストを行っています。

 数学なら「比例と反比例」の単元が終わればテスト、社会科なら「中世の日本と世界」の単元が終わればテストといった具合に、学習のまとまりごとに小テストを実施しています。

 また、年に3回だった実力テストを5回に増やしました。実力テストは、出題範囲が事前に示されないため、生徒たちの本当の学力を測ることができます。

 生徒たちは、授業で学んだことを単元テストで確認し、理解しきれていない部分は、そこですぐに復習するようになりました。

 ちなみに、単元テストは、再チャレンジすることができます。そうして、理解できていない部分を一つずつ分かるように勉強を重ねて、着実に学力を高めていけるようになりました。この仕組みがうまく機能していくことで、全ての生徒が単元内容を確実に習得し、前へ進むことができるようになります。

 しかし、ここで一つ、大きな問題が立ちはだかります。

photo

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.