赤字に苦しんできたダイエーに“復活”の兆し 流通帝国の崩壊から黒字化までの道のりをたどる長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2020年01月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

米国を研究し数多くの業態を開発

 全盛期のダイエーは、ディスカウントストアの「ビッグ・エー」を設立し、食品スーパー「マルエツ」を買収。ビーグ・エーとマルエツは、今は分離されイオン傘下となっている。現在は全店閉店したが大型ディスカウントストアの「トポス」や、コストコをベンチマークした会員制スーパーの「コウズ」なども展開。米国の流通をよく研究し、数多くの業態を開発した。

 また、コンビニの「ローソン」、持ち帰り弁当の「ほっかほっか亭」といった中食のリーダー格となる企業を創業。ネットワークビジネス、アムウェイの日本版「エックスワン」もダイエーが生み出した企業だ。

 多くの外食企業を創業したことでも知られ、東証一部に上場した英国風パブの「ハブ」をはじめ、ハンバーガーの「ドムドムハンバーガー」と「ウェンディーズ」、ハンバーグ主力のファミレス「ビッグボーイ」、ステーキハウス「フォルクス」、消滅したが牛丼「神戸らんぷ亭」などを、自力または米国企業と提携して立ち上げた。

ハブも創業した

 神戸の流通科学大学は、流通業の未来を担う人材育成のため中内氏が設立した大学だ。

 リクルート事件で話題になったリクルートは一時期、ダイエーの傘下だった。現在は福岡ソフトバンクホークスとなっている球団を、南海電鉄から買収して保有していた。老舗ホテルの「オリエンタルホテル」や、パチンコチェーンの「パンドラ」、ハワイを代表する「アラモアナ・ショッピングセンター」も買収して傘下としていた。

ハワイのアラモアナセンター。ダイエーの傘下だったこともある。

 今はもう存在しないものでは、百貨店の「プランタン」をフランスの老舗プランタンと提携して設立。ミシンメーカーの「リッカー」、遊園地の「小山ゆうえんち」、「奈良ドリームランド」を傘下に収めていたこともある。

 中内氏は日本チェーンストア協会初代会長、日本経団連副会長といった経済界の要職も歴任。流通業の地位向上にも貢献した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.